ヤクルト・村上宗隆(22)の号砲が鳴り止まない。8月28日のDeNA戦では、3試合連続4発目となる49号本塁打を放ち、日本人では2002年の松井秀喜(巨人)以来20年ぶりとなる50本塁打の大台に大手をかけた。本塁打数(49本)だけでなく、打率(.340)と打点(120)でも、リーグトップを走っている(8月28日終了時点)。
投高打低と言われるプロ野球界で異次元の数字を残している村上。ヤクルトの黄金時代を知るOBからも高い評価が相次いでいる。
現役時代にヤクルトを含む3球団で4番を務めた野球評論家の広澤克実氏は早くも三冠王は堅いと見る。
「セの5球団は様々な村上対策をしているが、穴が少ないバッターですからね。外のボールにも強く、どこの球場でもスタンドまで軽く届く。ピッチャーが追い込み方を見つけられていないのが実情です。2013年にヤクルトで60本塁打を記録したバレンティンがシーズン後半に固め打ちしたように、村上も8月の頭に5打席連続本塁打を放つなど調子の良い時に一気に数字を伸ばせている。今季はまとめて打てる強みがある以上、タイトル3つを獲るでしょう」
ヤクルトのエースとして活躍し、1998年に沢村賞を獲得した川崎憲次郎氏も投手目線で絶賛する。
「技術もさることながら、打ってほしいところで打ってくれるというか、期待に応えるバッティングが多いですよね。ここぞという場面でホームランを放つ。勝負強さがより鮮烈な印象を残しています。私が対戦したら、基本的にはシングルヒットはOKとするしかない。ホームランだけは打たれないような配球を心がけます。インコースは避け、アウトローを軸とした攻めになるでしょうね」
日本でもはや敵なしの強打者である以上、期待されるのは「メジャー行き」だ。米国メディアも村上に熱視線を送っている。
米国CBSスポーツ電子版は23日に〈60本塁打を目指しているのはアーロン・ジャッジ(ヤンキース)だけではない〉とのタイトルで村上の特集記事を配信。記事では、〈村上が将来、米国でプレーを希望しているかどうかは不明〉としているが、現実味が出てくるのはこれからだろう。