日米の球界で最も注目を集める選手がこの2人であることに異論を挟む余地はないだろう。エンゼルス・大谷翔平(28)とヤクルト・村上宗隆(22)。今季三冠王も射程圏の村上と、メジャーで大活躍中の大谷の打撃に共通点はあるのか。
二刀流の大谷は打者として、昨年46本塁打をマークし熾烈なタイトル争いを繰り広げたが、今季も29本をマークしている(米国時間8月29日終了時点)。
ブルージェイズ傘下3Aバッファロー・バイソンズの筒香嘉智(30)やカブスの鈴木誠也(28)ら日本を代表する打者がメジャーの舞台で苦戦するなか、もし村上が将来のメジャー移籍を考えるのであれば、目指すべきは「打者・大谷」と言えるだろう。
毎年フロリダでメジャーのキャンプとオープン戦取材を続けている野球評論家の江本孟紀氏はこう指摘する。
「大谷が打者として優れているのは、ホームランバッターなのに変に色気を出さないところです。ヒットにしかできないような球はホームランを狙わずにヒットを心がける。外側の球を踏み込みながらショート方向に飛ばす打球が多かったり、大振りして打撃フォームが崩れたりしないのもその表われです。
逆に筒香はついホームランを狙って大振りすることが多々あるから苦しんでいる。ヒットもホームランも価値が同じと捉えているのが実は大谷のスゴい点だと思います」
さらに江本氏は「村上も大振りし過ぎて乱れるようなことがないのが大谷と似ている点」と付け加えた。大谷と村上に強打者としての共通点があると指摘する声はほかにもある。現役時代にヤクルトを含む3球団で4番を務めた野球評論家の広澤克実氏が語る。
「大谷も村上も広角にホームランを放つことができるのが、最大の強みの一つです。2人とも底なしのパワーを持っている。
そして村上がメジャーで通用するかと聞かれれば、可能性は十分あると思います。村上の場合、長打が多くなる打球角度の範囲が21~30度と幅広い。また、完璧なホームランの打ち出し角度は25度前後と言われているが、村上は芯に当たった時に25度前後に上がることが多い。つまり天性のホームランバッターとしての素質を持っているんです。これは筒香などと比較しても格段に上で、練習しても習得できる技術ではありません」