よく食べ、よく笑い、よく泣く──女性アナウンサーの中でも長期にわたって、絶大なる支持を得ている日本テレビ・水卜麻美アナ(35)。その「愛される理由」について、共演者、元同僚アナが知られざる素顔を証言した。日本テレビの先輩にあたる馬場典子アナ(現在はフリー)は、彼女の「人間力」を絶賛したうえで、技術力の高さも見逃せないと語ってくれた。【全3回の第2回。第1回から読む】
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水卜アナの魅力はキャラクター面だけではない。馬場アナは彼女のアナウンス力の高さ、とくにナレーション技術を高く評価する。
「軽やかなトーンでも重厚なトーンでもしっかりとナレーションできる技術はもちろんなのですが、音域が広く、声色も変えられる。とくに昨年のプロ野球のCMナレーションが印象に残っています。言葉が少ないほど、時間が短いほど、世界観を表現するのは難しいのですが、ミトちゃんは声そのものでも表現できる。『プロ野球、開幕。』のひと言だけで、開幕への高揚感や独特の緊張感、選手への敬意など、何層もの思いを感じさせてくれるのです。これミトちゃん? って本人に聞いたら、『こういうのに気づいてもらえるのはとても嬉しい』と言っていて、ミトちゃんのナレーションにかける思いも改めて感じました」(馬場アナ)
水卜アナが昨春までMCだった『スッキリ』でコメンテーターを務める調達コンサルタントの坂口孝則氏が目を見張ったのは、地震や事件など予期せぬ出来事が生放送中に発生したときの対応だった。
「まったく原稿が準備されない場面が数分間も続いたのですが、水卜さんは慌てることなく、しっかりとつないでいた。
地震速報の際にも、1枚の原稿だけでほとんど情報がないなか、画面のわずかな映像を頼りに完璧に中継をこなしていました。改めてアナウンサーとしての水卜さんの能力の高さを感じましたね」(坂口氏)
水卜アナの実力は、理想の女子アナに近づくためのストイックな努力のたまものだ。
水卜アナがアナウンサーを目指したのは、小学生時代に見た小島奈津子アナ(元フジテレビ)への憧れからだったという。小学校の卒業アルバムにはすでに「アナウンサーになる」という将来の夢を書いた。
地元・千葉県きっての進学高校から慶応大学に進学。就活では在京キー局を手当たり次第に受けた。だが、そのとき“思わぬ試練”が彼女を襲う。