政治家が言う「旧統一教会の関連団体とは知らなかった」は疑わしいが、全国で行なわれている一般向けイベントには、確かに教団関連とはわかりにくいものが紛れ込んでいる。
毎年全国の都道府県で開催されている「ピースロード」は、地域ごとの実行委員会が主催するサイクリングイベントだ。
「世界平和」「日韓友好」を掲げてそれぞれの地域内を自転車でめぐり、リーダーの青年が行く先々で平和のメッセージを読み上げる催しで、実行委員会には地元の政治家などが名前を連ねる。
この8月に実施された「ピースロード2022イン熊本」の実行委員には、木原稔・元財務副大臣など熊本選出の自民党国会議員3人が加わっていた。
だが、本当の主催者は旧統一教会の関連団体「UPF(天宙平和連合)」だ。ピースロードのホームページによると、中央実行委員長はUPFジャパンや国際勝共連合の会長を兼ねる梶栗正義氏が務め、佐賀県唐津市で行なわれた2021年のラストランにも参加したことが掲載されている。
20代後半の元2世信者の女性が語る。
「先頭をリードして走り、役所などを表敬訪問してメッセージを読むのは『青年』と呼ばれる若い信者の役目です。外部から見るとただのサイクリング集団で、統一教会とは思わないでしょう。イベントの横断幕に『朝鮮通信使のルートを走って日韓友好を実現しよう』といった標語が書かれていたりする部分に、教会の色がうかがえるくらいです」
もともとは2013年に2台の自転車で北海道から日本列島を縦断し、韓国まで繋いだことから始まったイベントとされ、以来、日本の各地で行なわれるようになっていった。
それが安倍晋三・元首相の銃撃事件後、事態は急変した。UPFが旧統一教会の関連団体であることが大きく報じられると、このイベントを後援していた各地の自治体で後援を取り消す動きが広がっているのだ。
熊本県、熊本市、八代市は8月2日に後援取り消しを発表した(イベントは実施)。八代市秘書広報課が説明する。