恥ずかしくて人に聞けない、病院にも行けない……。そんな悩みを抱えやすいのが「下半身の病気」だ。こっそりと自力で治すのは限界があるうえ、素人判断の治療は症状を悪化させる。専門医に、正しい治療法を聞いた。
幼い頃にお漏らしした恥ずかしい経験は一度や二度くらいあるだろうが、加齢とともにお漏らし、つまり尿漏れのリスクも高まる。
尿漏れといっても主に4種類ある。泌尿器科医でときわ会常磐病院院長の新村浩明医師がその違いを説明する。
「まず、腹圧性尿失禁。これは笑ったり咳をしたりで、おなかに力が入った時に尿漏れが起こるものです」
これは女性に多い症状で、男性ではほとんど見られないという。
男性に多いのは切迫性尿失禁と呼ばれるタイプだ。
「急に尿意を覚え、トイレに行こうとするものの間に合わない症状です。膀胱や前立腺にある排尿を司る神経が過敏になっている状態。若い人なら我慢できても、高齢になると尿道括約筋が衰えやすく、コントロールが難しくなってしまうのです」(新村氏)
他にも尿が膀胱に溜まっても尿意を感じずに漏れてしまう「溢流性尿失禁」、さらには、脳卒中や認知症などが原因となる「機能性尿失禁」があるという。
また、尿の切れの悪さが原因の「排尿後尿滴下」と呼ばれる尿漏れも男性に起こりやすい。
「男性器の特徴に起因している。男性は女性とは異なり尿道が長いため、全部を出し切ったと思っていても尿道に尿が残っていることがあります。その尿が、下着を上げてトイレの外に出てから、漏れてしまうことがあるのです」(同前)
この症状も加齢によって悪化する。特に、慌てていると起きやすい。
「よく聞くのは、ゴルフのラウンド中にトイレに行った時のことです。尿道から尿を出し切らないままラウンドに戻り、その結果、ゴルフウェアを汚してしまい恥ずかしい思いをしたというケースが多々あります」(同前)