長嶋茂雄氏、緊急入院──その一報にメディアは大騒ぎになったが、長嶋の盟友もまた、ひっそりと入院生活を余儀なくされていた。読売新聞グループ本社主筆、渡辺恒雄氏(96)を襲った異変、そしてドン不在の影響を独占レポートする。【前後編の前編】
東京都心の一等地に建つある大学病院。病床数は700を超え、40近い診療科は全て完全紹介制で、最先端の医療を求めて全国から患者が訪れる。
この病院にいま、ひとりの“ドン”が極秘入院している。
「渡辺恒雄さんです。今年5月から入院しており、もう4か月になりますね。自力歩行はできず、院内は車椅子移動です。VIP中のVIPなので、院内でも一部の限られた人しか知りません」
病院関係者がそう言って声を潜める。
渡辺氏は百寿を控えてなお読売新聞グループ本社代表取締役主筆を務め、言論界や球界に君臨。時の政権にまで多大な影響力を及ぼす重鎮だ。
「今年は断固、再び優勝というつもりで頑張っていただきたい」
今年3月23日、渡辺氏は3年ぶりに開催された読売巨人軍激励会に登壇し、眼光鋭く首脳陣と選手にハッパをかけた。
6月9日に開催された元東京都知事・石原慎太郎氏の「お別れの会」では、安倍晋三元首相らと発起人に名を連ねた。
その安倍元首相が暗殺され、9月6日には盟友の長嶋茂雄氏が緊急搬送されるなか、渡辺氏は表舞台に姿を見せず、不気味なまでに沈黙を貫く。安倍元首相の国葬には参列予定と報じられたが、肉声が届かない理由こそが、4か月に及ぶ極秘入院だった。
別の大学病院関係者が語る。
「私が渡辺さんの姿を目撃したのは8月なかばのこと。その時は泌尿器科にいました。うちの泌尿器科は名門と名高く、腎臓がんと前立腺がんの症例数の多さは国内有数。名だたる名医が揃っています」