出場停止から復帰した元大関の朝乃山。しかし、所属部屋では不祥事の原因となった歪な状況が放置されていた──。
9月場所2日目、幕下付け出しデビューとなる川副を朝乃山が寄り倒しで下すと、幕下の取組では異例の大拍手が起きた。
「緊急事態宣言下でのキャバクラ通いで6場所の出場停止処分となった朝乃山は先場所から復帰。7戦全勝で幕下15枚目まで番付を上げた。今場所も全勝なら十両復帰。協会側も早く朝乃山に上位に戻ってほしいと期待しています」(担当記者)
その朝乃山が所属する高砂部屋は、東京・墨田区本所にある4階建ての白いビルだ。近隣でも朝乃山の復活に期待が膨らんでいるはずだが、住人たちに話を聞くと揃って首を傾げる。
「先代の高砂親方の大ちゃん(=元大関・朝潮)が今も部屋の3階に住んでいて、玄関から堂々と出入りしているんだ。大ちゃんのせいで不祥事が起きたのに、協会は身内に甘いよ」(70代男性)
「部屋を継いだ赤(=元関脇・朝赤龍)はいい奴だからね。文句も言わず近所のマンションから通っている。大ちゃんは車椅子姿で出入りするのを見るけど、退職したんだから赤にすべて譲ればいいのに……」(60代男性)
こうした部屋の状況は、昨年5月に朝乃山の不祥事が発覚した際に問題となったものだった。
コンプラ委員会も問題視
高砂一門関係者が言う。
「元・朝赤龍は、2020年12月に65歳定年を迎えた元・朝潮と名跡交換して8代目『高砂』を襲名した。しかし、その後も再雇用で協会に残った元・朝潮が師匠用居室に居座った結果、夜は部屋にいない元・朝赤龍の監督が行き届かず、朝乃山の醜聞につながったのです」
朝乃山の不祥事発覚後、協会のコンプライアンス委員会の調査などで、元・朝潮が飲酒を伴う会食を繰り返し、そこに朝乃山ら部屋の力士を同席させていたことが判明。力士の問題意識を麻痺させた責任を問われ、元・朝潮は昨年6月に退職願を提出し、協会を去った。
当時、協会が発表した資料でも現・高砂親方の監督が不十分となった一因は〈部屋の継承が済んだにもかかわらず、(元・朝潮が)居住を高砂部屋から他へ移さなかったことにある〉とされ〈その点でも(元・朝潮は)責任重大〉と指摘された。
「不祥事発覚後、協会は元・朝潮に部屋からの退去を指示。昨年7月中に部屋の家主を元・朝赤龍に変更することが確認されたと報じられました」(前出・高砂一門関係者)