自由恋愛、もしくは納得していると思ってある女性と親しくしたら、その女性と親しいと称する男性が現れて、不埒なことをした謝罪と賠償をよこせと脅迫される。「美人局(つつもたせ)」と呼ばれる古くからある犯罪だが、いま、マッチングアプリやSNSによって「パパ活」がカジュアル化したことで、およそ犯罪とは縁がなさそうな人たちにも被害が広がっている。ライターの森鷹久氏がレポートする。
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いわゆる「パパ活」を利用して、男性会社員(30)から百数十万円相当の金や車などを奪ったとして、神奈川県内に住む女子高生を含む、16才から19才までの男女6人が逮捕された。
手口は、女子高生がSNSを使ってターゲットを呼び出し、その後男女が現れてターゲットから金品を奪ったとみられている。男女ら6人は警察の調べに「簡単に稼げると思った」「パパ活をする人は負い目を感じており警察に行かないと思った」などと供述しているという。
報道等では「パパ活狩り」と大見出しが踊ったが、誰もが昔からある古典的な脅迫方法「美人局」を思い起こしただろう。
「援助交際」が世間で注目された1990年代には「援交狩り」があったし、そして出会い系サイトが全盛だった2000年代にも同様の事は起きていた。2010年代後半に入り、女性が裕福な男性(パパ)に食事をごちそうになったり、カラオケへ行くなどデートをするだけ……という建前の「パパ活」ブームが広がっているが、やはりというか当然というか、パパ活が美人局の餌場になった格好だ。
「いやホントですよ。そいつらが言うとおり、こちらは弱みを握られているようなもんですからね。ただ、出会い系サイトや援助交際とは違い、相手が望んだ“パパ活”をやっているだけ。ホテルに行こうとか、そういうことも言ってないし、思い切って警察に通報しました」
こう話すのは、自らも「パパ活」経験がある、埼玉県在住の会社員・土居啓太さん(仮名・40代)。土居さんも、パパ活希望の女性と遭い、直後に「美人局未遂」にあったというが、それがパパ活だったからこそ、なんとか助かったのだと胸をなで下ろす。
「援助交際とかみたいに、男女の目的が“ズバリ”じゃない…とされていますよね。もちろん、パパ活に興味を持つ男性のほとんどは下心があるでしょうが、大半の女性が私みたいな者に求めているのは、肉体関係なく一緒に贅沢をしたり少しお小遣いをもらったり、まさに『お父さん』としての振る舞い。だから男性にとって、パパ活は相手女性にいいように言いくるめられれば、ご飯をおごらされて、モノ買わされて終わり。パパ活なんて結局、男女だましあいなんですよ。今回は、その最終的な部分がぼやけていたから“彼女をかわいそうに思い助けた”で、警察への事情説明も済んだんです」(土居さん)