ライフ

気づきにくい“歯周病”腫れや痛みの自覚症状が出た時には「すでに進行」のことも

「沈黙の病気」ともいわれる歯周病は自覚症状がないまま進む(イメージ)

「沈黙の病気」ともいわれる歯周病は自覚症状がないまま進む(イメージ)

 歯を失うだけでなく、様々な全身疾患とも関連する歯周病。治療のためには歯科医院に行くことが必須となる。

 まずは自身の歯の健康状態を知るために、歯科医による専門的な「検査」を受ける必要がある。日頃から歯や歯茎を観察するセルフチェックも大事だが、歯周病が厄介なのは、目で見ても症状に気づきにくく、腫れや痛みなどの自覚症状が出た時にはすでに進行しているケースが多いことだ。

 日本歯周病学会専門医・指導医で元東北大学歯学部大学院臨床教授の弘岡秀明氏(スウェーデン・デンタルセンター院長)が言う。

「歯周病は自覚症状がないまま進むことから、『沈黙の病気』と呼ばれます。歯肉(歯茎)が腫れたり、血や膿が出るなどの症状に気づいた時にはかなり進行しているため、まずは定期的に歯科を受診して歯周組織の健康状態を確かめる必要があります。その際、歯科医院では、主に2つの検査によって総合的に歯周病の進行具合を確かめます」

 歯肉自体が赤色をしているため、目視だけではわかりにくい歯肉の炎症を見極めるのにまず行なうのが「プロービング検査」だ。

「プローブという、先端が直径約0.5mmの細い針のような器具を歯と歯肉の間(歯周ポケット)にそっと入れ、炎症による出血がないかを調べます。出血があれば、プラーク(細菌の塊)の歯面への付着により歯周組織に炎症が生じているサイン。歯周病を引き起こす歯周病菌に反応して、歯肉に炎症が起きているのです」(弘岡氏)

 歯周ポケットの深さも診断の指標になる。

「プロービング検査で、歯周ポケットにプローブの先端がどのくらい入るかを測ります。その深さの程度が、病気の進行具合の目安になる。深さ5mmを超えるかで、歯周病が進行しているかを判断していきます」(弘岡氏)

 さらに、歯周病の進行度を測るために、歯の周りの骨の状態を「レントゲン検査」で確かめる。

「レントゲンで、歯肉に炎症はあるが歯を支えている骨(歯槽骨)が消失していなければ『歯肉炎』。一方、炎症がありかつ骨がなくなり始めていたら『歯周炎』と診断します。この見極めが非常に重要で、それぞれの進行具合に応じて、歯周治療を行なうことになります」(弘岡氏)

※週刊ポスト2022年9月30日号

関連記事

トピックス

ブラジルを公式訪問している佳子さま(写真/アフロ)
佳子さま、外交関係樹立130周年のブラジルを公式訪問 子供たちと笑顔でハイタッチ、花柄のドレス姿も 
女性セブン
来来亭・浜松幸店の店主が異物混入の詳細を明かした(右は来来亭公式Xより)
《“ウジ虫混入ラーメン”が物議の来来亭》店主が明かした“当日の対応”「店舗内の目視では、虫は確認できなかった」「すぐにラーメンと餃子を作り直して」
NEWSポストセブン
家出した中学生を自宅に住まわせ売春させたとして逮捕された三ノ輪勝容疑者(左はInstagramより)
《顔面タトゥーの男が中学生売春》「地元の警察でも有名だと…」自称暴力団・三ノ輪勝容疑者(33)の“意外な素顔”と近隣住民が耳にしていた「若い女性の声」
NEWSポストセブン
山本賢太アナウンサーのプロフィール。「人生は超回復」がモットー(フジテレビ公式HPより)
《後悔と恥ずかしさ》フジ山本賢太アナが過去のオンラインカジノ利用で謝罪 「うちにも”オンカジ”が…」戦々恐々とする人たち
NEWSポストセブン
親日路線を貫いた尹政権を「日本に擦り寄る屈辱外交」と断じていた李在明氏(時事通信フォト)
韓国・李在明新大統領は親中派「習近平氏の接近は時間の問題」、高まる“日本有事”リスク 日米韓による中国包囲網から韓国が抜ける最悪のケースも
週刊ポスト
週刊ポストの名物企画でもあった「ONK座談会」2003年開催時のスリーショット(撮影/山崎力夫)
《追悼・長嶋茂雄さん》「ONK(王・長嶋・金田)座談会」を再録 落合博満の巨人入団をめぐって議論白熱「どう転ぶかわからないけど、ボクは落合を獲るのがいいと判断した」
週刊ポスト
田中真一さんと真美子さん(左/リコーブラックラムズ東京の公式サイトより、右/レッドウェーブ公式サイトより)
《真美子さんとの約束》大谷翔平の義兄がラグビーチームを退団していた! 過去に大怪我も現役続行にこだわる「妹との共通点」
NEWSポストセブン
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
《「来来亭」の“ウジムシ混入ラーメン”動画が物議》本部が「他の客のラーメンへの混入」に公式回答「(動画の)お客様以外からのお問い合わせはございません」
NEWSポストセブン
金スマ放送終了に伴いひとり農業生活も引退へ(常陸大宮市のX、TBS公式サイトより)
《金スマ『ひとり農業』ロケ地が耕作放棄地に…》名物ディレクター・ヘルムート氏が畑の所有者に「農地はお返しします」
NEWSポストセブン
6月9日付けで「研音」所属となった俳優・宮野真守(41)。突然の発表はファンにとっても青天の霹靂だった(時事通信フォトより)
《電撃退団の舞台裏》「2029年までスケジュールが埋まっていた」声優・宮野真守が「研音」へ“スピード移籍”した背景と、研音俳優・福士蒼汰との“ただならぬ関係”
NEWSポストセブン
小室夫妻に立ちはだかる壁(時事通信フォト)
《眞子さん第一子出産》年収4000万円の小室圭さんも“カツカツ”に? NYで待ち受ける“高額子育てコスト”「保育施設の年間平均料金は約680万円」
週刊ポスト
清原和博氏は長嶋さんの逝去の翌日、都内のビル街にいた
《長嶋茂雄さん逝去》短パン・サンダル姿、ふくらはぎには…清原和博が翌日に見せた「寂しさを湛えた表情」 “肉体改造”などの批判を庇ったミスターからの「激励の言葉」
NEWSポストセブン