旧統一教会との関係をめぐり、自民党が公表した党所属の国会議員に対するアンケート調査。だが、国会議員を調べただけでは意味がない。教団が進めていたのは地方議員を懐柔し、中央政界へ“圧力をかける”という政界工作だったからだ。
教団幹部を講師に
旧統一教会の“政界汚染”は国会議員だけではなく、全国の地方議員にも広く及んでいる。
同教団との数々のつながりが指摘されている山際大志郎・経済再生相の選挙区・川崎市では、山際氏が会長を務める自民党川崎市支部連合会所属の市議たちが教団の政界工作のターゲットにされてきた。
その経緯を辿っていこう。
東京・渋谷区から始まった、LGBTカップルを婚姻に相当する関係と認める「パートナーシップ条例」制定の動きが全国の自治体に広がりつつあった2016年4月15日、自民党川崎市連は政務調査会の定例勉強会の講師として「国際青少年問題研究所所長」の肩書きを持つ青津和代氏を招き、「家庭の危機と再生のための政策ビジョンについて~同性婚合法化の波にどう対応すべきか~」というテーマで講演を聞いた。
この講師の青津氏こそ、旧統一教会の関連団体の著名な幹部だった。ジャーナリスト・鈴木エイト氏が語る。
「青津氏は国際青少年問題研究所所長や自主憲法制定国民会議評議員など多くの肩書きで活動していますが、実は、旧統一教会の関連団体・国際勝共連合の本部長を務める教団の大物です。
多様な性の形を認めるLGBT条例(パートナーシップ条例)は、合同結婚式を挙げるまで男女が互いに純潔を守るという旧統一教会の思想とは相容れない。
そのため、教団は2015年頃から関連団体を通じてパートナーシップ条例反対運動と、同条例に対抗して家庭の役割を重視する『家庭教育支援法』の制定を求める運動を全国的に展開した。青津氏は教団側のオルグの1人です」
勉強会の出席者は自民党市議など10数人だったが、教団側のオルグは成功したようだ。出席者の1人、矢沢孝雄市議は自身のホームページで、〈渋谷区同性パートナーシップ条例が社会に与えた影響と問題点を改めて認識することができました〉と報告している。