旧統一教会の政界汚染はどこまで広がっているのか。最南端・沖縄がその“最前線”となっている実態を、ユニクロなどへの潜入取材で知られるジャーナリスト・横田増生氏が掴んだ。(文中敬称略)【全3回の第2回。第1回から読む】
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佐喜眞淳は、普天間基地がある宜野湾市の市議だった父の後を継ぎ、宜野湾市議、沖縄県議を経て、宜野湾市長を2期務めた。沖縄県では「保守のエース」と呼ばれる人物だ。しかし、2018年の知事選挙では玉城デニーに敗北。今回は、2回目の知事選への挑戦となったが、再び苦杯をなめた。
佐喜眞と旧統一教会の最初の接点は、自身のフェイスブックに残っているように宜野湾市長時代の2014年のこと。旧統一教会系の「ワシントン・タイムズ」紙の会長の訪問を受け、普天間基地の問題を話し合っている。「会長からはアメリカ・ワシントンに来ないのかとのお誘いが…。行けるかなぁ~?!」というコメントを書き込んでいる。
それから旧統一教会に大きくのめり込むのは、知事選に落選した2018年以降のこと。
沖縄の政界に詳しい人物はこう話す。
「知事選に落選した後、自民党は佐喜眞さんに冷たかったように思う。その隙間を突くように、旧統一教会が近寄って行った。その関係を肯定するつもりはないが、佐喜眞さんがなぜ傾いて行ったのかは分かる気がする」
佐喜眞が台湾での「既成祝福」に出席していたのが露見したのは、2019年11月に宜野湾市内の公民館で開かれた集会がきっかけだった。旧統一教会が開いた「希望の家庭講演会」には約50人の信者が集まった。そこで挨拶をしたのは、沖縄県2区選出の衆議院議員の宮崎政之(自民党)、他に宜野湾市議4人や沖縄県議1人も来賓として壇上に上っている。5人はいずれも自民党所属である。ここに佐喜眞は参加していなかったが、この時の挨拶の内容から、この日呼ばれていた政治家に加え、佐喜眞が台湾で行なわれていた既成祝福に参加していたことが発覚する。
壇上に上がった宜野湾市議会で議長を務める上地安之(自民党)はこう話し、聴衆から大きな拍手を得ている音源が私の手元にある。
「(先日)台湾にお邪魔をさせていただきました。65歳以上の夫婦が、30年、40年たってから、再度スタートしているのです。それは、全人類の平和を希求する原点が夫婦にあり、家庭にあるとして新たなスタートを切っているのです」
このことを知った関係者の1人はこう語る。
「日本の旧統一教会や参加した政治家のSNSには、この既成祝福の情報は一切載っていませんでした。けれど、台湾のSNSをのぞいてみると、その既成祝福に出席している宜野湾市の市議などの写真が多数見つかりました。その中には、佐喜眞氏が壇上でマイクを握り挨拶をしている姿が写った写真もありました」
先の公民館には、集会を開いた時の利用許可書などが残っていた。そこに記された人物は、地元で清掃業者を経営する旧統一教会信者の比嘉良雄(仮名)だった。