東証プライム上場で、1958年創業の老舗アウトドアブランド企業「スノーピーク」が9月21日、「代表取締役社長執行役員山井梨沙の辞任と代表取締役社長執行役員の交代について」と題するIR資料を発表した。それによると、山井梨沙氏(34)は既婚男性との交際・妊娠を理由に辞任を申し出たという。
上場企業が、女性社長自らの不倫を理由として明記したIR資料を出すのは前代未聞だ。「異動の理由」にはこう記されている。
〈当社代表取締役社長執行役員である山井梨沙から、既婚男性との交際及び妊娠を理由として、当社及びグループ会社の取締役の職務を辞任したいとの申し出がありました。本日、当社はその辞表を受理し、臨時取締役会にて、現在代表取締役会長執行役員である山井太が本日付にて代表取締役社長執行役員を兼務することを決議いたしました〉
会長であり社長を兼任することになった山井太氏は、梨沙氏の父親にあたる。
32才の時に父から同社を受け継いだ山井梨沙氏は、キャンプブームに乗って事業を拡大させ、会社の名を広めた立役者として知られる。梨沙氏は積極的にメディアに登場。2020年12月、『7RULES(セブンルール)』(フジテレビ系)に登場した際は、自らの7つのルールとして「初めての仕事相手とは焚き火を囲む」「毎朝 出勤途中に神社を通る」「服を作るときは『生地』から決める」「寝る前に『静かなるドン』を読む」「職人に会うときはひとりで」「新潟・東京で二拠点生活する」「父に助けを求めない」を挙げていた。
Instagramでも自らのライフスタイルを公開し、2019年には「お見合い写真」というハッシュタグをつけて、着物姿の美しい写真をアップしていた。
経営面でも注目されており、会社は16期にわたり増収を続けていた。今年6月に発売された著書『経営は、焚き火のように Snow Peak飛躍の源泉』では、〈スノーピークという会社は社員全員がキャンパーであるということが最大の特徴です。社員数が600人を超えた現在でも、採用基準ではキャンプが好きかどうかを重視しています〉など、その経営の要諦を明かしていた。
会社の舵取りは父親に戻すことになり、皮肉にも「7つめのルール」は守れなかったようだ。