古希を超えてなお、小田和正は新曲を発表し、全国ツアーのステージで輝きを放っている。令和の今も、その音楽は若者から中高年まで幅広い層を惹きつけている。「10代の頃から追いかけてきました」という生粋のオフコース・ファンである女優・斉藤慶子(61)が、長年愛され続ける小田の音楽の魅力を語った。
* * *
──小田和正、オフコースの魅力をひと言でいうと。
斉藤:小田さんの書く歌詞は、とても洗練されていて、言葉が輝くようにきれいなんです。選び抜かれた言葉がポン、ポンと置いてあるというか。どこか現実味がないというか、別世界が広がっている気がして……ひと言では言い尽くせません(笑)。
初めて「さよなら」を聴いた時から、楽曲の醸し出すピュアな世界観に引き込まれて、一気にファンになりました。
──コンサートにも足を運んだとか。
斉藤:小田さんやオフコースが大好きになった当時、私は熊本の大学に通っていました。たまにオフコースがコンサートで熊本にも来ましたが、全然チケットが取れませんでした。コンサートに行くようになったのは、東京で芸能界のお仕事をするようになってからです。何度もステージに足を運んで、何日間もかけて行なわれた解散コンサートも連日通いました。
──なかでも一番印象に残ったコンサートは?
斉藤:いつのコンサートだったかは思い出せませんが、大好きな『Yes-No』を演奏してくれた時のことです。コンサートが終わり、観客がパラパラと会場を後にし始めた時に突然演奏が始まり、もう一度『Yes-No』を披露してくれたんです。きっと、演奏に納得がいかなくて、やり直したんだと思います。帰りかけていたお客さんもびっくりするやら、大喜びするやらで、その時のことは今もよく憶えています。
自分の納得のいくものを届けたいという楽曲に対する強いこだわりが伝わってきて、プロとしてかっこいいなと感動しました。
──小田さんとお会いしたことはありますか。
斉藤:初めてお会いしたのは、コンサート終わりで楽屋に招待してもらった時です。小田さんを前にした時、自然と涙が出てきて恥ずかしかった(笑)。
実は、雑誌の対談でも小田さんにお会いしたことがあります。驚いたのは、対談の相手に小田さんが私を指名してくださったと聞いた時です。嬉しくて、でもすごく緊張して、ポーッとしてしまいました。