情報番組のなかで放送される「ミニドラマ」が増えている。NHK朝ドラ同様、主に家庭の主婦層をターゲットにしたものが多いと思いきや、ドラマオタクのエッセイスト小林久乃氏によると、現役学生たちも「よく見ている」らしい。「テレビを見ない」とされる世代に人気の理由は何か。小林氏が考察する。
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立ち飲み屋でたまたま出会った大学生たちと話していたら、面白いことが聞けた。
「今回の朝ドラ、かなりバッシングだけど見ちゃうよね」
「あと『ZIP!』の錦鯉のドラマも結構みんな見ているよ」
……意外な事実であった。大学生が、登校準備をしている朝8時前後にテレビか、スマホ受信でドラマを見ているらしい。令和の10〜20代は「テレビさえも見ない」、なんなら「一人暮らしの自宅にテレビはない」、「ドラマは1.5倍速で視聴する」ことが通常運転だと思い込んでいた。
「だって、朝ドラ短いじゃん。あと夜ドラっていうのも短くていい」
ああ、そうか。放送時間が短いから若者も見やすいのか。プライム帯に放送されているような、視聴に1時間もかかるものではなく、あくまでも15分間以内の放送で構成されているテレビドラマなら、通常再生で受け入れられる。彼女たちの話を聞いて、地上波ドラマで気になっていた現象を思い出した。
私の見る限りではあるが、最近、やけに短時間放送のドラマが制作されていないだろうか。NHKの朝ドラは昭和から脈々と続く文化だとしよう。ただNHKではここ数年「夜ドラ」という放送枠があり、月曜から金曜まで22:45分から15分間の連続ドラマが放送されている。朝ドラと対になるような設定なのだろう。現在は『あなたのブツが、ここに』という、コロナ禍の日本を振り返る作品が放送されていて、好評だ。前記の大学生たちにも「なんか沁みる」とのこと。
放送は終了したけれど朝の情報番組『ZIP!』(日本テレビ系列)内で、毎朝放送されていた『泳げ!ニシキゴイ』の放送時間はなんと約5分間。今までも違う作品が放送されてきたが、今回は令和のシンデレラおじさん・錦鯉のサクセスストーリーということで、注目度は高かった。
「毎朝5分、1週間で25分間のドラマは果たして……?」と疑念を持った私だが、結果、面白かった。SixTONESの森本慎太郎さんが演じていた、長谷川雅紀さんへの“寄せ方”が振り切っていて良かったのかもしれない。アイドルがハゲカツラに……太眉を描いたとは……。きっといい役者になる。