大相撲秋場所は、10日目から横綱・照ノ富士が休場となっている。今場所は2017年九州場所の稀勢の里以来という4つの金星を配給し、5勝4敗という成績にとどまるなかで横綱昇進7場所で後2度目となる休場に追い込まれ、場所後に故障を抱える膝の手術が必要となる可能性もある。膝の故障で一度は大関から序二段まで番付を落とし、そこから復活した照ノ富士だが、またも正念場を迎えている。そうしたなかで、場所後には照ノ富士や関係者が待ちわびた“イベント”が控えているのだ。
両膝の手術を受けたことによる4場所連続全休などを経て、2019年3月場所に序二段まで落ちた照ノ富士は、そこから劇的な復活を遂げ、昨年の7月場所後に横綱昇進を果たした。ただ、両膝には痛々しいサポーターが巻かれた状態が続いており、今回もその古傷の状態が悪化しているとみられる。
その照ノ富士は場所後の10月16日に、都内で昇進披露パーティーを開催する予定になっている。すでに昇進から1年以上が経過しているが、コロナ禍があったためにこれまで開催できずにいたのだ。相撲担当記者が言う。
「2度目の大関をたった2場所で通過して横綱に昇進するというスピード出世だった照ノ富士は、再大関の昇進パーティーもやっていない。前回の大関昇進パーティ(2015年9月)は1300人を集め、9本の化粧まわしが贈られるなど盛大に行なわれた。今回は、横綱と大関の昇進のお祝いを兼ねる予定だが、それだけに休場だけは避けたかったはず。苦しい判断だったでしょう。しかも場所後に手術するかもしれないのですから、本来は延期の可能性だって考えられるはずですが、招待状も発送済みだし、部屋関係者は予定通り実施すると明言している」
昇進パーティーは力士たちにとってとても大切なイベントなのだという。若手親方が言う。
「角界ではパーティーで祝儀を集めることが非常に重要で、それが引退後に親方として部屋を構えたりするうえでの原資になってくる。十両昇進、幕内昇進、大関・横綱昇進といったパーティーを積み重ね、最後に最大の集金イベントである引退相撲がある。国技館でやれば横綱クラスなら1億円が集まるといわれます。だから、新型コロナでどんなに先送りになっても、みんな引退相撲はやりたがるわけです。あとは結婚披露宴もタニマチが祝儀を奮発する大きなイベントですね。
昇進パーティーや結婚披露宴は本場所で好成績を残して臨みたいもの。かつては場所後にイベントがある力士には祝儀場所として星を譲るのが当たり前という話も聞きましたが、ガチンコ全盛のいまはそういうのは全くないですからね。早々に負け越した大関・正代も場所後に昇進パーティーがありますが、照ノ富士も大変な状況で晴れの席を迎えることになってしまった」