ロッテ戦(9月18日)に敗戦し、134試合目で最下位が確定した日本ハム。開幕から1度も最下位から抜け出すことができなかったビッグボスこと新庄剛志監督だが、「今年は全員の力と性格を把握する年」と位置づけている。スポーツ紙担当記者はこう話す。
「大型契約の新外国人のガントとヌニエスがいずれも機能せず、セーフティスクイズやヒットエンドランを多用する独自采配を貫いたが、勝利には結び付かなかった。しかし、これまで二軍でくすぶっていた若手を積極的に起用し、打率は2割1分台だがチーム最多の17本塁打を放った清宮幸太郎(23)や自己最多の14本を打った万波中正(22)などの若手の底上げに成功している」
2018年のドラフト1位で、プロ4年目の吉田輝星(21)もビッグボスが引き上げたひとり。吉田は1年目の白星のあと2年連続で勝ち星がなかった。昨シーズンは一軍での登板は1試合(先発で2回7失点)だったが、今シーズンは中継ぎを中心に47試合に登板(9月22日現在)、2勝3敗5Hの成績を残している。
「開幕カードで先発を任されるなどチャンスをもらったが、先発では0勝3敗と結果が出せなかった。中継ぎ転向後は9試合連続無失点を記録するなど勝利の方程式の一角として起用されている。140キロ台のストレート、スライダー、フォークのコンビネーションで8月は9試合に登板して防御率0.87の成績を残すなど、ビッグボスの期待に応えている」(同前)
4年目に覚醒し始めた吉田だが、実は釧路での主催ゲームへの移動の際に大遅刻をするという失態をしでかしていた。
8月23日、日本ハムは釧路のウインドヒルひがし北海道スタジアムでオリックスと対戦し、プロ野球では珍しい日没コールドで引き分けた。吉田は5回二死満塁のピンチに登板すると、わずか1球、144キロのストレートでファールフライに仕留めた。2イニング目も無失点で抑え、新庄監督からも「よく抑えた」と評価された。
試合後のインタビューでは、前日に仙台育英(宮城代表)が東北勢初の甲子園優勝を決めたことに触れ、「いやもう感動したので、ボクもちゃんといい投球をしないとなって。イカつい場面だったので気合が入りました」とコメント。2018年夏の甲子園で東北出身の吉田ができなかった「白河越え」に感動したと興奮気味だった。
その夏の甲子園決勝が行なわれた8月22日は、東京から釧路への移動日だった。羽田11時25分発の飛行機に乗るため、ナインは10時過ぎに姿を見せはじめ、おのおのが保安検査場を通過していった。
11時10分、保安検査場に向かって走ってきた吉田。だが、出発時間20分前を過ぎていたことで保安検査場を通過できなかったのだ。目撃したファンはこう言う。