自分にあう歯科医はどう選ぶ?(イメージ)
歯の健康は、全身の健康に直結すると言われる。大切なのは、正しい歯科治療・口腔ケアの知識を得ることだ。それだけ世の中には“間違った治療・ケア”の情報が蔓延している。『やってはいけない歯科治療』著者でジャーナリストの岩澤倫彦氏が「間違いだらけの歯科医選び」についてレポートする。
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【間違い】マスコミに登場する歯科医は名医?
殺菌作用があるというセメントを詰めるだけで治療できるという触れ込みの「ドックベストセメント」。未承認の治療法で、実際に治療を受けた患者からトラブルの相談が非常に多いというが、この方法は、民放のテレビ番組が取り上げたことが契機になって、広まった。
一般的なマスコミは、話題性がある特徴的な歯科医を取り上げる傾向が強いが、それは臨床医としての評価とは全く関係がないと考えるべきだ。
これまで取材した世界的に評価される歯科医たちは、一般向けではなく歯科の専門書を書いたり、勉強会を主催している。
そして共通するのは、治療方針を丁寧に説明して、患者の希望に耳を傾ける姿勢だ。彼らは驚くほど謙虚である。自ら名医と称する歯科医は、決してお勧めできない。
【間違い】ネット検索の上位が優れた歯科医院?
歯科医院をネットで探す時に、「歯周病治療 ○○市」と入力するのではないか。そして検索結果を上から見ていくと思うが、注意してほしい。5番目くらいまで「広告」なのだ。
グーグルの場合、青字の見出しの上に、小さなグレーの文字で「広告」と表示されている。
ここに掲載されるためには、多額の宣伝費が必要。それは治療費に転嫁されている可能性があると思ったほうがいい。
【間違い】インプラント手術数が多いと腕がいい?
ネット上ではインプラントの手術件数を強く打ち出している歯科医院が多い。“年間○○○件!”と謳うところもある。だが、インプラント治療は手術だけでなく、口腔ケアも指導できるところを選んだほうがいい。
あまりに手術件数が多いところは、残せる歯も抜いてインプラントにするように誘導している可能性を疑うべきだ。
6年前、覆面取材で訪れたインプラント専門のクリニックの歯科医が「もう抜かないとダメ」と診断した歯は、再根管治療を受けたところ今も全く問題なく残せている。