プロ野球のペナントレースは佳境を迎えているが、セ・リーグでは原辰徳監督(64)率いる巨人が“瀬戸際”に立たされている。首位ヤクルト、それを追うDeNAから大きく引き離され、辛うじてクライマックスシリーズ(CS)圏内の3位を阪神、広島と争う展開に。このピリッとしない状況に、超大物OBから厳しい言葉が向けられた。
「今の巨人では人間とは何かという教育がまるでゼロ。あるべき姿をまったく教育していない」
そう語るのは、巨人の名遊撃手として活躍し、監督としてヤクルト、西武を率いて4度のリーグ制覇、3度の日本一に輝いた広岡達朗氏(90)だ。
「昔の選手は巨人に憧れて入団した。そして“球界の盟主”と呼ばれ注目を浴びる巨人の選手である以上は、野球界すべての手本にならないといけないという信念があった。それが今はなんですか、ユニフォームすらちゃんと着られず、帽子もズラしてかぶる。情けないですよ」
9月19日には巨人のエース・菅野智之がDeNA戦で、7回1失点の好投を見せ、9勝目を挙げた。翌日のスポーツ紙は各紙がエースの活躍を大々的に報じたが、広岡氏は「10勝もできていない菅野はエースなどとは呼べない」と手厳しい。
「最近の投手は5回で勝利投手の権利を得るとすぐに降板する。人間が堕落するような制度になっているから巨人の選手は太っている。みんな“二重あご”だよ。10勝もできない菅野がエースだと言うが、私が入団した年に倉敷工から安原(達佳)が1年目から3勝して、“こうすればもっと勝てます”と主張したら、“1年坊主がなにを言っている。3年間で20勝したら話を聞いてやる”と言われた。それで、2年目に12勝、3年目に15勝を挙げて実力が認められた。それが昔の巨人の姿だったんです」
またチームが苦境に立たされた状況にあって、いまの巨人の選手やベンチの雰囲気には“緩み”を感じるという。
「いまの巨人は丸(佳浩)がホームランを打つと、監督がベンチで“マルポーズ”で出迎える。そんなことを川上(哲治)さんや水原(茂)さんがやったか。球団は丸を広島からFAで獲得した時に5年契約で総額25億円も払っている。それが打率2割7分で笑っていちゃダメだろう。私は今でも巨人で学んだ野球が間違っていないと思っている。いい勉強をさせてもらった。そいうOBからすると、今の巨人には反吐が出るよ」
CSからの“下克上”を目指すという巨人。菅野は次の登板で節目となる10勝目を狙うこととなる。大物OBからの愛のある苦言は彼らの胸にどう響くのか――。