香取慎吾にとって初めてとなる“妻にディスられる夫”という役。ブラックユーモアがちりばめられたコメディ映画『犬も食わねどチャーリーは笑う』で、リアルに演じている。
物語では、ネット上の“旦那デスノート”に投稿された妻の本音がきっかけとなって、夫婦バトルに発展する。
脚本・監督を務めた市井昌秀さんに、作品ができるまでの舞台裏について聞いてみた。
慎吾さんに「着ぐるみみたいなことはしないでください」
――“ディスられる夫”というキャラクターはどう作られたのだろうか。
「慎吾さんは、いろんなことに挑戦し努力されてきた方なので、ずるいところとか、なさけないところとか、だらしないところって、あんまりイメージがない。だから、あて書きというか、正確に言うと『こういうことを言ったら面白いだろうな』と考えて書きました」(以下カッコ内、市井監督)
―― 実際に演じた香取さんを見て、市井監督はこう感じたという。
「うれしくなったというか、笑えるというか。ホント見たことない慎吾さんの表情なので。慎吾さんには、『裕次郎(香取演じる夫)役の着ぐるみに入る、みたいなことはしないでください』と言いました。慎吾さんのなかにも、必ず小さくても負の部分、マイナスの部分はあるから、そこを虫眼鏡で広げるように出してほしいと。
とにかく自分からは離れないでほしいということは、いちばん最初にお願いしました。それは、妻・日和役の岸井ゆきのさんにも伝えたんですが、おふたりとも忠実にそう演じてくださったので。だからこそ笑えちゃうのかなと思います。
裕次郎ではあるけれど、本当に慎吾さんが困っているような、そんなお芝居をしてくれた。そしてそれがなんていうか、僕が信頼されていると思えて、うれしかったんですね。
でも、慎吾さんご本人いわく、裕次郎みたいな、あんなだらしない感じはほとんどないらしいです(笑い)。だからほんのちっちゃい、砂粒みたいなのを虫眼鏡で拡大してくれたんだと思います」
――香取とは初めての映画作りで、驚かされることがいくつかあったという。