1980年代後半から1990年代前半はものまね番組が大人気だった。その一角で活躍していたタレント・岩本恭生さん(70)は、人気お色気番組『ギルガメッシュないと』(テレビ東京)の司会などでも活躍。その後、あまり見なくなったと思ったら、2013年、故郷・札幌で夫人の介護と育児に奮闘していると報じられ、夫人はその翌年に他界し、視聴者を驚かせた。岩本さんの現在を追ってみた。
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岩本さんは札幌の繁華街・すすきので、友人と2人で4年前からダイニングバー「GAN BOX CLUB」を経営。この店で会った岩本さんは、少し丸くなっていた。
「コロナで出歩けなくなって7~8キロ太りました。毎晩、店に出て赤ワイン1本くらい開けますからね。でも、検診に行っても血圧とか肝臓の値とか正常で、医者には『おかしいんじゃないか』と驚かれています(笑い)。年相応に足腰が痛いとか、人の名前が出てこない、とかはありますけどね」
脳幹にできた腫瘍の手術の失敗で半身麻痺になっていた恵美夫人は8年前、誤嚥性肺炎で52歳で他界。岩本さんはそれから、ようやく自分のために病院へ行くようになったという。
「嫁の介護をしていたときは、もし自分に何か見つかったらどうにもならないと思っていたから、怖くて病院の検査に行けなかったんです。死と背中あわせの毎日だったから、睡眠薬を服用しないと眠れなかったぐらいでね。でも、自分は健康で長生きするかもしれない。両親ともに長生きしたから」
父親は2012年に87歳で亡くなり、1人暮らしになった母親と同居するために、介護中の恵美夫人、当時12歳の長女、10歳の長男を連れて札幌へUターンしたのだった。
「母親は足が悪かったから、母親の面倒もみなきゃいけなかったんです。それまでは姉が近くに住んで面倒をみててくれてたんだけど、今度はオレが親をみる番、ってことになったんだね。そりゃ、大変でした。仕事から帰ると、嫁と母親の愚痴を聞いてあげて、朝は子供たちを起こして弁当を作って……。
嫁が天国にいったと思ったら、その2年後に母親が脳梗塞で倒れ、脳血管性の軽い認知症になっちゃって、それからは母親の介護。でも、日中は自分は仕事で、子供たちは学校があるじゃないですか。家に誰もいなくなる。家で介護するのは限界があるので、有料老人ホームに入ってもらいました」