今シーズンの巨人は、「球界の盟主」の呼び名に相応しくない戦いが続いている。優勝の望みは早々に絶たれ、辛うじてCS出場に望みをつないでいる状況だ。6位中日とのゲーム差も少なく、47年ぶりの最下位の可能性も残る。
そこにきて、生え抜きのスター選手・坂本勇人(33)の女性スキャンダルである。
9月10日付の『文春オンライン』は、坂本が20代女性に繰り返し性行為を要求し、女性が妊娠すると「本当は今すぐ堕ろせよって言いたい」などと発言したと報じた。
坂本はこれまでも度々女性問題が報じられてきただけに、ファンからは本人による説明や何らかの処分を求める声が噴出。しかし、球団は文春オンラインに坂本と女性の間で示談が成立していることを回答した以外には公式な発表をせず、坂本はお咎めなし。報道翌日も試合に出場した。
そうしたなかで奇妙だったのが、「大メディア」の反応だ。坂本のスキャンダルに対し、テレビ局、スポーツ各紙は完全スルーを決め込んだのだ。背景には何があるのか。
元巨人番のスポーツ紙編集委員が語る。
「今はコロナで取材人数が制限され、選手や監督のコメントはリモートの代表取材ばかり。これでは現場の記者の取材力は鍛えられないし、球団が発表した内容を流すだけになってしまう。坂本の件も球団内部で何が起きているかを取材できず、周辺の情報も取れないので報じるのが難しい」
在京のスポーツ紙デスクは「示談」になっていたことが大きいという。
「巨人は坂本と女性が示談したことを理由にそれ以上の説明をしていません。被害女性が会見すれば話は別ですが、すでに示談したので難しいでしょう。そんな状況で先走って報じれば、その社だけ“出禁”にされかねませんからね」
数多くの関係者を取材するなかで度々聞こえてきたのが、球団側に厳しい対応を取られるのではないかと気にする声だ。
「かつての巨人はメディアを出禁にすることが多かった。例えば契約金や年俸などの“金満体質”を批判したらすぐ出禁になり、しばらくの間選手のコメントが取れず苦労しました。特にキャンプ中だと最悪です。当時よく出禁になっていたスポーツ紙は大体2週間で解除されていたが、夕刊紙ではかなり長期間に及んだ例もあった。それでも夕刊紙は外部の執筆者とパイプがあれば記事になるけど、毎日の試合経過や背景を書くスポーツ紙は厳しい」(前出の編集委員)