ライフ

【正しいがん予防】アルコールで上がる乳がんリスク “飲まないこと”が最善

リスクはあるという(写真はイメージ)

リスクはあるという(写真はイメージ)

「たばこで肺がんに」「肉ばかり食べると大腸がんになる」「きのこでがんが予防できる」──2人に1人が罹患する国民病であるだけに、そうした「がん予防」の情報はこれまでも数多く喧伝されてきたが、その精度や信憑性はうやむやだった。米ハーバード大学公衆衛生大学院で疫学・予防医学の道を究め、愛知県がんセンター研究所や東大大学院医学系研究科特任教授などを経て、2021年9月から国立がん研究センターがん対策研究所予防研究部部長を務める井上真奈美さんが、正しいがん予防をお伝えする。【全3回の第2回。第1回から読む

 * * *
「まず、女性のがんにとって最大のリスク要因となる『感染』を防ぐためには、がんとの因果関係が明らかになっている菌やウイルスに感染しているかどうかを確認し、治療を受けて取り除くことが必要です。

 もともと日本人は、ピロリ菌の感染から胃がんに、B型・C型肝炎ウイルスの感染から肝がんになる人が多かった。現在は生活習慣や衛生環境が改善されて感染率は下がりましたが、念のためピロリ菌、肝炎ウイルスとも自治体の検診や医療機関などで一度は検査を受けてほしい。

 加えて女性は、ヒトパピローマウイルス(HPV)で子宮頸がんのリスクが高まります。性交渉で感染するHPVを防ぐことはなかなか難しいですが、HPVワクチンを定期接種することで感染予防効果が期待できます」(井上さん・以下同)

 感染対策を万全にした後、最優先で取り組むべきは禁煙。

「1990年頃から全体的に低下しているものの、近年の女性の喫煙率はほぼ横ばい。喫煙は食道がんや肺がん、子宮頸がんや大腸がんなど多くのがんのリスクを確実に高めます。

 最近は若い世代を中心に従来の紙巻きたばこから『加熱式たばこ』を代用品にする人も増えています。加熱式たばこは紙巻きたばこと比較して有害成分が少ないと思っている人も少なくありませんが、実際には、紙巻きたばことほぼ同量含まれている成分もあります。また、製品化されてからの年数が浅く、長期使用に伴う健康影響も明らかになっていません。紙巻きたばこの場合、たとえ低容量でも長期使用により確実にがんリスクは上昇するため、加熱式たばこでも同様の影響が予想されます。たばこの種類を問わず、喫煙者は一日も早く禁煙することが必要です」

 禁煙は、周囲の罹患リスクを下げることにもつながる。

「喫煙者の副流煙を吸い込む『受動喫煙』であっても肺がんのリスクは確実に上がりますし、乳がんの罹患率も上がる可能性があることも示されている。副流煙が体に悪いのは加熱式たばこも同様です」

 たばこと同様に発がん性のあるアルコールも控えることに努めたい。

「肝臓がん、大腸がん、食道がんのリスクを確実に上げることが明らかになっています。最近行われた研究では、飲酒によって閉経前の乳がんのリスクがほぼ確実に上がることもわかりました」

関連キーワード

関連記事

トピックス

気持ちの変化が仕事への取り組み方にも影響していた小室圭さん
《小室圭さんの献身》出産した眞子さんのために「日本食を扱うネットスーパー」をフル活用「勤務先は福利厚生が充実」で万全フォロー
NEWSポストセブン
“極秘出産”していた眞子さんと佳子さま
《眞子さんがNYで極秘出産》佳子さまが「姉のセットアップ」「緑のブローチ」着用で示した“姉妹の絆” 出産した姉に思いを馳せて…
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
《日本中のヤクザが横浜に》稲川会・清田総裁の「会葬」に密着 六代目山口組・司忍組長、工藤會トップが参列 内堀会長が警察に伝えた「ひと言」
NEWSポストセブン
5月で就任から1年となる諸沢社長
《日報170件を毎日読んでコメントする》23歳ココイチFC社長が就任1年で起こした会社の変化「採用人数が3倍に」
NEWSポストセブン
石川県をご訪問された愛子さま(2025年、石川県金沢市。撮影/JMPA)
「女性皇族の夫と子の身分も皇族にすべき」読売新聞が異例の提言 7月の参院選に備え、一部の政治家と連携した“観測気球”との見方も
女性セブン
日本体操協会・新体操部門の強化本部長、村田由香里氏(時事通信フォト)
《新体操フェアリージャパン「ボイコット事件」》パワハラ問われた村田由香里・強化本部長の発言が「二転三転」した経過詳細 体操協会も調査についての説明の表現を変更
NEWSポストセブン
岐阜県を訪問された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年5月20日、撮影/JMPA)
《ご姉妹の“絆”》佳子さまがお召しになった「姉・眞子さんのセットアップ」、シックかつガーリーな装い
NEWSポストセブン
会話をしながら歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《極秘出産が判明》小室眞子さんが夫・圭さんと“イタリア製チャイルドシート付ベビーカー”で思い描く「家族3人の新しい暮らし」
NEWSポストセブン
ホームランを放ち、観客席の一角に笑みを見せた大谷翔平(写真/アフロ)
大谷翔平“母の顔にボカシ”騒動 第一子誕生で新たな局面…「真美子さんの教育方針を尊重して“口出し”はしない」絶妙な嫁姑関係
女性セブン
寄り添って歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《木漏れ日の親子スリーショット》小室眞子さん出産で圭さんが見せた“パパモード”と、“大容量マザーズバッグ”「夫婦で代わりばんこにベビーカーを押していた」
NEWSポストセブン
六代目体制は20年を迎え、七代目への関心も高まる。写真は「山口組新報」最新号に掲載された司忍組長
《司忍組長の「山口組200年構想」》竹内新若頭による「急速な組織の若返り」と神戸山口組では「自宅差し押さえ」の“踏み絵”【終結宣言の余波】
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
「よだれを垂らして普通の状態ではなかった」レーサム創業者“薬物漬け性パーティー”が露呈した「緊迫の瞬間」〈田中剛容疑者、奥本美穂容疑者、小西木菜容疑者が逮捕〉
NEWSポストセブン