国内

国葬でも鮮明に?安倍晋三元首相が得意とした「対決型」政治手法

安倍晋三元首相を悼み、献花する人たち。9月27日午前、東京都千代田区の九段坂公園にもうけられた一般献花台[代表撮影](時事通信フォト)

安倍晋三元首相を悼み、献花する人たち。9月27日午前、東京都千代田区の九段坂公園にもうけられた一般献花台[代表撮影](時事通信フォト)

 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々の心理状態を分析する。今回は、9月27日に日本武道館で営まれた安倍晋三元首相の国葬について。

 * * *
 安倍元首相の国葬がしめやかに営まれた。献花の列は最長で約4kmに及んだというが、都内各所では国葬反対のデモも繰り広げられた。国会前のデモには、1万5千人が参加したと主催者側が発表した。会場となった武道館がある九段下の交差点では、賛成派と反対派が怒鳴り声を上げ衝突が起きてしまった。

 反対が賛成を上回ったまま世論は二分、国論は分断した。デモはその象徴的な光景だったが、映像を見ていると、国葬という厳粛な儀式を前に不謹慎ながら、なんだかこれも安倍氏らしいなという気がしてしまった。

 多くのメディアは、国民の理解を得られなかった理由を複数上げている。その1つに、安倍氏の政治的な評価が定まっていないということがあるという。敵と味方を峻別した政治手法が国の分断につながったと指摘されているのだ。賛成派と反対派を対決させ、味方には篤く、敵には厳しい対決型の政治手法は、推し進めようとする政策や反対の声があがる法改正の時だけでなく、森友学園や加計学園問題、桜を見る会などの答弁でもみられた。

 その手法は、時に国民に向けて直接、取られたこともある。2017年7月の東京都議選最終日だ。秋葉原駅前での街頭演説で、安倍氏は政権批判する人たちからの「安倍やめろ」のコールに怒り、「こんな人たちに、私たちは負けるわけにはいかない」と、指差し言い放ったのだ。自分を非難する人、異を唱える人たちは敵とみなして攻撃し、支持してくれる人たちと対峙させる。その度に数や力で圧倒して、強烈なリーダーシップを印象づけ、政権を強固に固めていった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

『傷だらけの天使』出演当時を振り返る水谷豊
【放送から50年】水谷豊が語る『傷だらけの天使』 リーゼントにこだわった理由と独特の口調「アニキ~」の原点
週刊ポスト
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
《英国史上最悪のレイプ犯の衝撃》中国人留学生容疑者の素顔と卑劣な犯行手口「アプリで自室に呼び危険な薬を酒に混ぜ…」「“性犯罪 の記念品”を所持」 
NEWSポストセブン
原監督も心配する中居正広(写真は2021年)
「落ち着くことはないでしょ」中居正広氏の実兄が現在の心境を吐露「全く連絡取っていない」「そっとしておくのも優しさ」
NEWSポストセブン
フジテレビの第三者委員会からヒアリングの打診があった石橋貴明
《離婚後も“石橋姓”名乗る鈴木保奈美の沈黙》セクハラ騒動の石橋貴明と“スープも冷めない距離”で生活する元夫婦の関係「何とかなるさっていう人でいたい」
NEWSポストセブン
休養を発表した中居正広
【独自】「ありえないよ…」中居正広氏の実兄が激白した“性暴力認定”への思い「母親が電話しても連絡が返ってこない」
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
〈山口組分裂抗争終結〉「体調が悪かろうが這ってでも来い」直参組長への“異例の招集状” 司忍組長を悩ます「七代目体制」
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(時事通信フォト)
「うなぎパイ渡せた!」悠仁さまに筑波大の学生らが“地元銘菓を渡すブーム”…実際に手渡された食品はどうなる
NEWSポストセブン
新年度も順調に仕事を増やし続けている森香澄
《各方面から引っ張りだこ》森香澄、“あざとかわいい”だけじゃない「実はすごいアナウンス力」、「SNSの使い方はピカイチ」
NEWSポストセブン
4月7日、天皇皇后両陛下は硫黄島へと出発された(撮影/JMPA)
雅子さま、大阪・沖縄・広島・長崎・モンゴルへのご公務で多忙な日々が続く 重大な懸念事項は、硫黄島訪問の強行日程の影響
女性セブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された(左/時事通信フォト)
広末涼子の父親「話すことはありません…」 ふるさと・高知の地元住民からも落胆の声「朝ドラ『あんぱん』に水を差された」
NEWSポストセブン
SNSで出回る“セルフレジに硬貨を大量投入”動画(写真/イメージマート)
《コンビニ・イオン・スシローなどで撮影》セルフレジに“硬貨を大量投入”動画がSNSで出回る 悪ふざけなら「偽計業務妨害罪に該当する可能性がある」と弁護士が指摘 
NEWSポストセブン
都内にある広末涼子容疑者の自宅に、静岡県警の家宅捜査が入った
《ガサ入れでミカン箱大の押収品》広末涼子の同乗マネが重傷で捜索令状は「危険運転致傷」容疑…「懲役12年以下」の重い罰則も 広末は事故前に“多くの処方薬を服用”と発信
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
《英国史上最悪のレイプ犯の衝撃》中国人留学生容疑者の素顔と卑劣な犯行手口「アプリで自室に呼び危険な薬を酒に混ぜ…」「“性犯罪 の記念品”を所持」 
NEWSポストセブン