9月29日のDeNA戦に敗れ、6年ぶりの最下位が決定した中日ドラゴンズ。今年も得点力不足に悩んだ。チーム打率は.245でリーグ4位ながらも、本塁打62本と得点405はともに12球団で最低だった。そうしたなかで話題になっているのが、本拠地の「テラス席」設置だ。本当に低迷からの“起爆剤”となり得るのか。
今季の中日の防御率は3.31と阪神に次いでリーグ2位。その投手力を中心に本拠地・バンテリンドームの広さを活かした“守りの野球”を展開したが、結果としてはホームで37勝33敗1分と勝ち越したものの、ロードで27勝42敗1分と大きな借金を作ってしまった(成績は9月29日現在)。
9月14日のDeNA戦後、報道陣から「今季130試合目で本塁打60本。テラス席設置に向けて個人的な意見があれば」と問いかけられ、立浪和義監督は「個人的には希望します。ピッチャーは育ちますが、バッターはなかなか育ってこない。毎回ロースコアのゲームだと見に来てくださっている方も……。DeNAもここでやるのと(横浜)スタジアムでやるのと点の入り方が違うが、ビジターに行くとここよりも点を取られてしまい、ビジターに弱いという課題もある」とコメントしている。
ここで話題になった「テラス席設置」とは何を意味するのか。スポーツ紙デスクが説明する。
「バンテリンドームでホームランが出やすくなるように外野席を拡張するかたちとなる『テラス席』の設置は、監督が交代するたびに話題になります。同球場は両翼100メートル、中堅112メートルの広さに加え、“青い壁”と呼ばれる外野フェンスの高さが4.8メートルもあり、ホームランの出にくい球場として知られるため、そうした議論が浮上するわけです」
狭いナゴヤ球場からナゴヤドーム(現・バンテリンドーム)に本拠地を移したのは1997年。同年、星野仙一氏が率いた中日は最下位に沈んだ。
「強竜打線がウリのチームだったが、当時の星野監督は“ドームでは守り勝つ野球に変えなければ優勝ができない”として、攻撃力より守備力、パワーよりスピードを重視する方針に転換。1997年のオフには本塁打王の大豊泰昭をトレードするなどして、ドーム3年目の1999年にリーグ優勝しています。その後、落合博満監督も守り勝つ野球で4回のリーグ優勝を果たした」(同前)
投手中心の“守りの野球”で広い本拠地を活かしてきたが、谷繁元信、森繁和、与田剛の各氏が監督を務めた8年間で3位が1回、あとはBクラスに沈んできた。そして、今季は立浪監督のもとで6年ぶりの最下位となったのである。