国際情報

エリザベス女王の健康術 食事は1日4回で魚が多め、食べたいものは我慢せず

(写真/GettyImages)

食べたいものはがまんせず、ケーキを毎日食べていたとも(写真/GettyImages)

 イギリス国民のみならず、世界がその死を悼んだ。チャーミングな笑顔とユーモアたっぷりの語り口の中に、芯の強さを併せ持ち、人々を魅了したエリザベス女王。96年の生涯を最期の一瞬まで充実したものにした女王の生き方には、私たちが欲してやまない、上手な“終い方”のエッセンスが詰まっていた。

 いくつになっても、「お迎え」が来る直前まで元気に過ごすには多くの困難を伴う。医療の発展で寿命は飛躍的に延びたが、日本における健康寿命(2019年、女性75.38才、男性72.68才)と平均寿命(2021年、女性87.57才、男性81.47才)の差はおよそ8〜12年ほど。つまり、多くの人は何らかの異常や病気を抱えながら、人生の最晩年を過ごさざるを得ない現状がある。誰もがうらやむピンピンコロリは、実はそう簡単に実現できる話ではない。

 精神科医の渡邊宏行さんが指摘する。

「生活習慣病になり、動脈硬化が進行して心疾患や脳血管障害を発症したり、関節や骨の状態が悪くなって運動機能が低下したりして、寝たきりになる高齢者が多い。平均寿命は延びていますが、心身ともに健康な状態で死を迎えるのは容易ではありません」

 元気に生きて、周りに迷惑をかけず、きれいに死にたいと誰もが願い、残される人々もそれを望んでいる。エリザベス女王のような「安らかすぎる最期」を迎える秘訣は何だろうか。

食べたいものはがまんしない。「自分ルール」を無理せず守る

 穏やかな最期とは裏腹に、波瀾万丈の人生を歩んだエリザベス女王。ルーティンを守って生活しながらも、好きな食べ物をがまんしなかった。女王の専属シェフだったダレン・マグレディ氏は英メディアにこう語った。

「エリザベス女王はチョコレートケーキを毎日食べている。最後の一切れまで大事に召し上がります」

 高齢者の医療に詳しい精神科医の和田秀樹さんは、「好きなものを食べること」の大切さを説く。

「高齢者は食が細くなり、栄養不足になりがちなので、『減らすこと』を意識するより、食べたいものを食べた方が健康にいい。ケーキは血糖値が急激に上がるデメリットもありますが、血糖値が下がると脳の活動が低下するので、適度に食べる方が高齢者にとってはメリットが上回ります」

 食事の仕方にも工夫があった。「朝・昼・晩」ではなく、軽めの量を1日4回に分けていた。これも「理にかなっている」と渡邊さんが指摘する。

「食事は食べるたびに血糖値が上がり、それを下げるためにインスリンが出ます。例えば1日1度の食事を多めに取ると、血糖値が急激に上がってインスリンが大量に分泌されて体に負担がかかります。逆に1回の食事量が少なく回数が多いとインスリンの出方が緩やかになり体に優しい」(渡邊さん・以下同)

関連キーワード

関連記事

トピックス

『激レアさんを連れてきた。』に出演するオードリー・若林正恭と弘中綾香アナウンサー
「絶対にネタ切れしない」「地上波に流せない人もいる」『激レアさんを連れてきた。』演出・舟橋政宏が明かす「番組を面白くする“唯一の心構え”」【連載・てれびのスキマ「テレビの冒険者たち」】
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平が帰宅直後にSNS投稿》真美子さんが「ゆったりニットの部屋着」に込めた“こだわり”と、義母のサポートを受ける“三世代子育て”の居心地
NEWSポストセブン
現場には規制線がはられ、物々しい雰囲気だった
《中野区・刃物切りつけ》「ウワーーーーー!!」「殺される、許して!」“ヒゲ面の上裸男”が女性に馬乗りで……近隣住民が目撃した“恐怖の一幕”
NEWSポストセブン
シンガポールの元人気俳優が性被害を与えたとして逮捕された(Instagram/画像はイメージです)
避妊具拒否、ビール持参で、体調不良の15歳少女を襲った…シンガポール元トップ俳優(35)に実刑判決、母親は「初めての相手は、本当に彼女を愛してくれる人であるべきだった」
NEWSポストセブン
「ミスタープロ野球」として広く国民に親しまれた長嶋茂雄さん(時事通信フォト)
《“ミスター”長嶋茂雄さん逝去》次女・三奈が小走りで…看病で見せていた“父娘の絆”「楽しそうにしている父を見るのが私はすごくうれしくて」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ犯から殺人犯に》「生きてたら、こっちの主張もせんと」八田與一容疑者の祖父が明かしていた”事件当日の様子”「コロナ後遺症でうまく動けず…」
NEWSポストセブン
「グラディアトル法律事務所」の代表弁護士・若林翔氏
【改正風営法、施行へ】ホストクラブ、キャバクラなどナイトビジネス経営者に衝撃 新宿に拠点を持つ「歌舞伎町弁護士」が「風俗営業」のポイントを解説
NEWSポストセブン
中居正広氏の兄が複雑な胸の内を明かした
「本人にとって大事な時期だから…」中居正広氏の実兄が明かした“愛する弟との現在のやりとり”《フジテレビ問題で反撃》
NEWSポストセブン
長嶋茂雄・巨人軍終身名誉監督からのメッセージ(時事通信フォト)
《長嶋茂雄さんが89歳で逝去》20年に及んだ壮絶リハビリ生活、亡き妻との出会いの場で聖火ランナーを務め「最高の人生」に
NEWSポストセブン
中居正広氏の兄が複雑な胸の内を明かした
「兄として、あれが本当にあったことだとは思えない」中居正広氏の“捨て身の反撃”に実兄が抱く「想い」と、“雲隠れ状態”の中居氏を繋ぐ「家族の絆」
NEWSポストセブン
今年3月、日本支社を設立していたカニエ・ウェスト(時事通信フォト)
《カニエ・ウェストが日本支社を設立していた》妻の“ほぼ丸出し”スペイン観光に地元住人が恐怖…来日時に“ギリギリ”を攻める可能性
NEWSポストセブン
現在、闘病中の西川史子(写真は2009年)
《「ありがとう」を最後に途絶えたLINE》脳出血でリハビリ中の西川史子、クリニックの同僚が明かした当時の様子「以前のような感じでは…」前を向く静かな暮らし
NEWSポストセブン