巨人が今季限りでソフトバンクを退団することが決まった松田宣浩の獲得調査に乗り出すことが、スポーツ紙で一斉に報じられた。
松田は今季プロ17年目で自己最少の43試合出場にとどまり、打率.204、0本塁打、7打点。本職の三塁だけでなく一塁も守ったが、優勝争いを繰り広げる9月上旬に登録抹消され、戦力になれなかった。ファームでは12試合出場で打率.269、1本塁打、7打点。ソフトバンクを取材する記者は、こう振り返る。
「長年チームを支えてきた功労者ですし、首脳陣はチャンスを与えたほうだと思います。衰えの兆候は2年前からありました。直球に差し込まれるようになり、スランプに入るとなかなか脱出できない。持ち前の明るいキャラクターでチームを鼓舞していましたが、打撃で試行錯誤していたと思います。来季の構想から外れましたが、本人の中では不完全燃焼だったのでしょう。ソフトバンクは円満に退団しましたし、将来は指導者として戻ってくるはず。悔いのない野球人生を送ってほしいですね」
出場機会を求めての退団は、まだまだ1軍でプレーできる自負があるからこそ。ソフトバンクでの最後の試合となった10月1日の2軍戦にはヤクルト、中日、楽天、ロッテの編成担当が視察に訪れていたことが報じられた。
しかし、意外な球団が獲得に名乗りを挙げる。巨人だ。松田が守る三塁は岡本和真、一塁も今季復活した中田翔という不動のレギュラーがいる。代打の切り札でも松田と同じ右打者で、40歳のベテラン・中島宏之がいる。来年40歳になる松田にどんな役割を求めて獲得するのか。実際にSNS上では、「巨人ファンだが、松田は要らない、松田本人が良いとか悪いとかの問題じゃなくて、もし入っても代打ぐらいしか使い所がないし、それだったら中島がいるしね」「巨人が獲得にするにしても守備ポジションはどうするのか疑問。獲得したところでポジション無しで代打で活躍になりそう」など獲得に首をかしげる見方が多い。
巨人を取材するスポーツ紙記者は、「松田にはチームの空気を変えるムードメーカーの役割を期待していると思います」と分析する。
「今の巨人はおとなしい選手ばかりで盛り上げ役がいない。先頭に立って盛り上げるウィーラーも今季はファームが長かったですしね。試合中にベンチの重苦しい雰囲気を見た他球団の選手から『お通夜みたいな雰囲気ですね』と心配されるほどだった。松田は自分が試合に出場できなくても、大声を張り上げてチームを鼓舞できる。もちろん、戦力としても期待していますが、常勝軍団を支えてきた主力から得られるものは大きいと思います」