阪神の次期監督に岡田彰布氏が就任する。2005年に阪神をリーグ優勝へと導いた「名将」は果たしてどんな改革を断行するのか。虎党のみならず球界全体の注目の的となっている──。
今年2月、キャンプイン前日に矢野燿大監督が今季限りでの退任を発表したことが驚きをもって受け止められた。だが、今回の「岡田監督就任」は球団内にそれ以上の波紋を広げたという。元球団幹部が重い口を開く。
「岡田氏が内定する直前まで、球団内は平田勝男二軍監督の昇格で一本化されていました。それが9月に入って一転、阪急阪神HD側の意向を反映し、平田案が却下されたことで岡田監督誕生に至りました。
タイガースを保有するのは阪神電鉄で、その親会社である阪急阪神HDが監督人事に口を挟むのは初のケースです。もともと阪急側には『岡田監督』を推す構想があったとされるが、今シーズンは優勝できる戦力を擁しながらリーグ3位に終わったことで事態が動いた。内部昇格ではチーム改革は果たせないという危機感から、岡田監督の再登板へと舵が切られたのだろう。また阪急阪神HDが全面バックアップするであろう岡田新監督は球団幹部にとって脅威となるはず」
岡田氏は2004年に阪神監督に就任してから2008年に退任するまでの5年間で4度のAクラス入りを果たした。2007年にはセ・リーグ日本人監督として初となる同シーズン2度の退場(いずれも審判への抗議で胸を突き飛ばしたため)をするなど“熱血監督”としても知られる。
岡田体制下の2005年以降、チームは17年間もリーグ優勝から遠ざかっている。
シーズン中に飛び出した「名将復帰報道」にファンのボルテージは上がっているが、選手たちの間には緊張が走っているようだ。阪神番記者が語る。
「矢野監督は選手とともに喜び、ともに戦っているという方向で選手管理をしてきたが、岡田さんは阪神戦の解説で厳しいことを言い続けてきた。今の“緩い”阪神にとって岡田さんの投入はいわば劇薬みたいなもの。フロント陣もさることながら、選手たちの間からも『岡田さんは阪神を一体どう改革するつもりなんだ』という声が早くも聞こえてきます」
阪神OBで、岡田氏と親交がある江本孟紀氏はこう期待を込める。
「矢野よりはるかに面白い野球をやりますよ。矢野は、コアなファンを“う~ん”と唸らせることができなかった。一方の岡田は、見た目通りバクチ打ち的な人間ですからね(笑)。三原(脩)マジックやノムさん(野村克也)のような観る人に驚きをもたらす野球になると思う。岡田は本当に選手に厳しいし、采配にもこだわりが強いですよ。野球も知っており阪神は大きく変わるでしょうね」
※週刊ポスト2022年10月21日号