物乞いがビジネスとなっている発展途上国では、病気やケガで動けない子供たちがレンタルされるのだという。かわいそうな子供を持つ親、という設定で街頭に出て物乞いをするためだ。現代日本ではさすがにレンタルの子供はいないが、街頭募金の集金率をよくするために犬や猫、ときにシニア犬や病気の犬を利用する人たちが存在する。俳人で著作家の日野百草氏が、一部の心ない人たちによる、かわいそうな動物を伴う募金活動とその闇についてレポートする。
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すべてが詐欺ではない。すべてが違法でもない。大半が真っ当な団体、かもしれない。
しかし動物たちのためでなく、一部の人間の生活費や遊興費のために行われる募金が存在することは事実である。
神奈川県のターミナル駅、30度をゆうに越える猛暑の中、その大型犬はとてもいい子にしていた。
これだけの暑さ、パンティング(舌を出してハァハァと呼吸する行為)は無理もない。簡易な布の上で寝そべって、よだれを垂らしながら目を閉じている。雑踏からは「かわいい」「大きい」と声が上がる。ごくまれに、傍の募金箱にお金を入れる人もいる。
犬と一緒にいる女性は、ずっとスマホとにらめっこ。募金箱は直置き(地域によっては違反)、大きなボード(看板、大きさにもよるが、これも地域によっては違反)には団体の活動について写真入りで綴られていた。
こうした昔からよくある駅前の犬や猫を連れての募金活動、近年はターミナル駅を中心に増えている。時期にもよるが犬や猫を連れた団体による募金活動があちこちで見受けられる。とくに増えたのが人間と犬とペアで座り込むような小さな活動だろうか。
関東近郊、別の日の別のターミナル駅、こちらも人間一人に犬一匹を連れた募金だ。若い女性に話しかけてみると、アジア系の外国人だった。筆者に「募金お願いします」と座ったまま上目遣いで言う。こちらもスマホとにらめっこ、少し詳しく話を聞こうとすると険しい顔で「わからない、ここに聞いて」とパネルを指さして言う。筆者はあえて道路使用許可証の有無を尋ねてみた。すると彼女は座ったまま今度はこちらに背を向けて、先ほどまでの動画視聴ではなくスマホで連絡を取り始めたようだ。こうした外国人や一部の若者はボランティア職員だけでなく、「募金番」として雇われている場合がある。犬は中型犬で、少々ぐったりした様子で寝そべっていた。
さらに日を改めて再び神奈川県、犬を連れた募金番が警察と揉めている。犬は二匹の中型犬でぐったりだ。かわいそうに、布切れ一枚敷いていないため、犬は地べたで寝っ転がっている。こちらも募金箱は地べたに直置き、募金を呼びかける看板も複数枚あり大きすぎる。それにしてもこの二匹の犬は水をちゃんと貰えているのだろうか、撤収を始めたので犬たちもようやくお役御免、それにしても何時間、この場所に留め置かれていたのだろう。