車の運転に必要な能力は高齢になるほど衰え、事故のリスクが高くなる。そこで、認知症の予防・改善にも有効な取り組みを行ない、脳と体の機能低下を防ごう。
運転に必要な脳と体の機能を鍛える
「運転脳」は、運転に必要な認知・判断・操作に関わる脳の働きを表わした言葉で、鳥取大学医学部認知症予防学教授の浦上克哉医師が理事を務めるNPO法人「高齢者安全運転支援研究会」が定めたものだ。
高齢になると認知機能が低下し、運転技術の衰えを自覚して運転免許を返納する人も少なくない。しかし、車の運転をやめることで行動意欲が低下し、認知症リスクが高まる可能性があることが、国立長寿医療研究センターの研究で発表されている。
長く運転を続けたいなら慎重な運転を心がけるだけでなく、脳と体を鍛え、認知機能(運転脳)の低下を防ぐのが大事だ。まずは自分の「運転脳」の衰え具合を確認し、対策を行なおう。
「とっとり方式」で運転能力を維持する
浦上医師は「とっとり方式認知症予防プログラム(※プログラムの詳細は鳥取県のホームページで公開)」を開発し、認知症の前段階であるMCI(軽度認知障害)の認知機能を改善した実績を持つ。このプログラムは注意力や判断力、視空間認知力など、「運転脳」を構成する6つの認知機能の強化にも役立つ。
「プログラムは運動・知的活動・コミュニケーションの3要素からなり、脳と体をバランスよく刺激します。間違い探しやジグソーパズルなどの取り組みを楽しみながら習慣化すると、長続きしやすいです。早くから始めるほど効果的です」(浦上医師)
車が運転できれば生活にもハリが出て、健康長寿につながる。できれば、仲間とコミュニケーションをとりながら行なうとよい。