警察や軍関係、暴力団組織などの内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、ウクライナ侵攻が始まってから今も続くロシアで相次ぐ大富豪の死について。
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9月21日、ロシアでまた企業幹部が不審死した。今度はモスクワ航空研究所(MAI)の元所長で、顧問を務めていたアナトリー・ゲラシチェンコ氏(63才)だ。MAIは公式サイトで彼の死を「事故死」と報じているという。
ロシアでは1月後半以降、影響力のある人物が自殺や原因不明の事故で亡くなったとの報道が相次いでいる。CNNによると、その数はゲラチェンコ氏を含め、少なくとも10人にのぼるという。9月12日には、ロシア極東・北極圏開発公社航空部門幹部のイワン・ペチョーリン氏(39才)が、ウラジオストク沖でボートから転落して死亡と報じられ、9月1日には、ロシアのウクライナ侵攻に反対の声を上げたロシア第2位の石油会社、ルクオイルのラビル・マガノフ会長(67才)が入院していた病院から転落して死去と地元メディアが報道。遅れて、国営メディアが自殺と報じた。
ルクオイルでは5月にも、元幹部のアレクサンドル・スボティン氏(43才)がシャーマン(霊媒師)を訪れた後、遺体で発見されている。4月には大手天然ガス会社ノボテックの元副会長セルゲイ・プロトセーニャ氏(55才)がスペインの別荘で妻と娘とともに遺体で発見され、地元警察は一家心中とみられると発表。その前日には、ロシア最大手金融機関ガスプロムバンクの前社長ウラジスラフ・アバエフ氏(51才)がモスクワのアパートで銃を握った状態で妻と娘とともに死体で発見され、一家心中だと報じられた。
ロシアの新興財閥オリガルヒの幹部や実業家たちの不審死は、ロシアがウクライナ侵攻を開始したことへの反対や、ウクライナ侵攻によるロシアへの制裁で、縮小する経済のパイの奪い合いの可能性などが噂されているが、どれも真偽は定かではない。ただロシアという国やプーチン大統領にとって敵、危険分子と見なされれば、排除される可能性は否定できないというのが一般的な見方だろう。
入国直後から行動監視をする目的
国家やプーチン政権を脅かすほど重要人物でなくとも、ロシアという国では警察などの組織にマークされることがあるらしい。以前、仕事でモスクワを訪問した際、ホテルで経験した出来事を、NEWSポストセブンで書いた。宿泊したのは、クレムリンの傍らにある老舗ホテル。予約していたスタンダードなツインルームにチェックイン。翌日は朝から予定していた会合に出席し、ロシア政府関係者や実業家、ジャーナリストらと名刺交換し歓談をして、夜、ホテルに戻った。