若い人向けのマッサージは、表面や部分ケアに重きを置くが、筋肉が硬くなった50代からは体質や深部にまで働きかけないと意味がない。その方法を伝授します。
体の深部にまで効果的なマッサージ
「50才を過ぎたら、表面的な浅い“表層のマッサージ”では、深部のコリがきちんと改善されず、血流促進などの効果が期待できません」
とは、経絡リンパマッサージを施す「銀座ナチュラルタイム」の総院長・渡辺佳子さんだ。それはなぜか──。
「若いときは筋肉が柔軟なので、表層のマッサージでも血流や体の滞りが改善されますが、年齢を重ねるとそれだけでは不充分になります。血液やリンパの流れ、筋肉の動きが悪くなり、体がコリやすく硬くなるからです。そうなると、体質や体の深部にまでアプローチする必要があります」(渡辺さん・以下同)
渡辺さんが治療に取り入れている「経絡リンパマッサージ」は、リンパマッサージに経絡、ツボへの刺激を加えたもの。体の深部にまで作用して全身の細胞を活性化し、体質改善を促すという。さらにリンパを活性化させて、免疫力を高める効果も期待できる。強い力は必要なく、基本は“さすってツボを押す”だけ。お風呂上がりなどに行うのがおすすめだ。
【体質改善 経絡リンパマッサージ】
【1】脚をさすり上げる
脚全体の経絡リンパマッサージ。ふくらはぎを両手のひらで軽く握るように密着させる。足首からひざ裏までさすり上げたら、そのまま脚のつけ根までゆっくりさすり上げる。左右の手で交互に行う。続いて、脚の内側と外側もまんべんなく、下から上にさすり上げる。反対側の脚も同様に、左右で各1分行う。
【2】お腹と⿏径部をさする
お腹の経絡リンパマッサージ。仰向けに寝て、ひざを立てて脚は肩幅に開く。両手のひらをおへその上下に平行になるように当てたら、時計回りに円を描くようにお腹全体をさする(【1】)。【2】に沿って、みぞおちから鼠径部まで、両手のひらで交互にさすり下ろす。各1分。最後に【3】に沿って鼠径部を両手で外側から内側にさする。これを3回繰り返す。
【3】背中からお尻をさする
背中とお尻の経絡リンパマッサージ。両手のひらを背中のできるだけ高い位置に当てる。手のひらを背中に密着させたまま、お尻に向かってさすり下ろしたら、お尻に円を描くようにさすり上げる。1分間繰り返す。
・マッサージのときに「衝門」を押す
鼠径部の真ん中、バストトップからまっすぐ下りたところにあるツボ「衝門」に指先を当てて、1分ほど押す。エネルギーの流れが滞りやすい部分なので温めて刺激を。「下半身の冷えやむくみの改善も期待できます」。
・マッサージのときに「神闕」を押す
おへその真ん中にあるツボ「神闕」に両手のひらを重ね、手の熱で温めながら1分ほど押す。お腹の奥まで温まるので、冷えによる腹痛や下痢に効果的。「冷えが改善されるので、肌の色つやもよくなります」。