銃撃事件で亡くなった安倍晋三・元首相の国会追悼演説を行なう野田佳彦・元首相が10月17日、ブログで胸中を明かしたと、新聞各紙が報じている。
〈安倍氏との党首討論後の衆院解散・総選挙で政権を明け渡すことになった因縁を振り返り、「最期にも立ち会う運命になるとは。安倍氏にスポットライトを当てるための政治人生だ。『かませ犬』みたいだ」と吐露した〉(読売新聞)
〈安倍氏の長期政権へのきっかけを作った自らの役回りを「かませ犬」と表現するなど複雑な心境を記す一方、「死は究極のノーサイド」という言葉を引き、安倍氏への敬意を示した〉(毎日新聞)
いずれも野田氏の述べた「かませ犬」というインパクトある発言を引いているが、それ以上の言及はない。「野田さんは明らかにプロレスラーの長州力を意識していたはずですが、残念ながら新聞記者には気づかれなかったようです」と苦笑いするのはプロレス通ライターだ。
「野田さんは大のプロレスファンとして知られ、先日亡くなったアントニオ猪木さんの通夜にも参列したばかりです。『かませ犬』といえば、その猪木さんの弟子である長州力が藤波辰巳(現・辰爾)に向かって放ったとされる『俺はお前のかませ犬じゃない』、いわゆる『かませ犬発言』を意識しているに決まっています。実際のブログを読めばプロレスファンなら一目瞭然ですが、プロレスになじみのない新聞の政治部記者には意図を汲んでもらえなかったのでしょう」
野田氏のブログは、〈安倍晋三元内閣総理大臣は1993年7月、第40回衆議院議員総選挙で初当選を果たされました。私も当選同期の1人です。ただし、「政治家一族」と呼ぶべき家に生を受け、生まれながらにして「公」を「背負う」ことが運命づけられていた安倍氏と、徒手空拳で這い上がってきた私の生い立ちは対照的でした〉という一節から始まる。