2040年には100兆円の市場規模になるともいわれる世界の宇宙ビジネス。ロケット開発などの本格的なものから、ロケット打ち上げのために必要となる周辺サービス、衛星関連事業、宇宙を舞台にしたエンターテインメント、宇宙に居住するためのアイテム……と、その裾野はあまりに広い。宇宙に行くこと、暮らすことがすべて実現可能な領域に入ってきたいま、そのなかでも特に話題の3社の取り組みを紹介する。
“人工流れ星”で科学とエンタメを促進
『ALE』の「Sky Canvas」は、宇宙を広大なキャンバスに見立てて夜空に人工流れ星を降らす、画期的なエンターテインメント事業。
「200km圏内の人が一同に楽しめる非日常体験をつくりながら、流れ星の軌道や発光から得られた中層大気データで、さまざまな気象現象の解明に役立てたい。宇宙や科学が発展するためには、たくさんの人に興味を持ってもらうことが肝心と考えています」(『ALE』PR・山崎麻里子さん)
“宇宙港”で北海道活性化の推進力に
北海道大樹町が1985年から構想を進めてきた宇宙港「北海道スペースポート」での小型人工衛星の打ち上げが、2023年度以降いよいよ実現する。企業や個人の寄付金や内閣府からの交付金を財源として大樹町が建設し、民間事業者『SPACE COTAN』が運営を担う、官民連携の一大プロジェクトだ。
「アジア初の民間に開かれた商業宇宙港として、ロケットの燃焼実験から打ち上げまで手厚くサポートしていく予定です。いずれは技術者や観光客が楽しめる街づくりを行い、元気な北海道の推進力にしたい」(『SPACE COTAN』社長・小田切義憲さん)
“折り紙の技術”で宇宙に家を輸送する
コンパクトに折りたたんだ家をロケットに積載し、宇宙に行ったら展開して居住空間にする──折り紙の技術を使った『OUTSENSE』の「ORIGAMI HOUSE」が話題を集めている。
「折り構造だけでは、パネルの折り目から空気が漏れてしまうので、風船のような膜を張って気密性を高める想定です。環境負担を軽減するためにも3Dプリンタと宇宙資源を使って、現地で資材を生産できればとも考えています」(『OUTSENSE』代表・高橋鷹山さん)
取材・文/辻本幸路
※女性セブン2022年10月27日号