今オフのFA市場で一番の目玉が、西武・森友哉だ。権利を行使した場合にオリックス、巨人、DeNAら複数球団が参戦する可能性がある。
今季は102試合出場で打率.251、8本塁打、38打点。自慢の強打は不本意な成績に終わったが、守備面での貢献度は非常に高い。チーム防御率2.75はリーグトップ。近年は正捕手を固定せずに複数の捕手をスタメン起用するチームが多いが、森は82試合で先発マスクをかぶっている。シーズンを振り返ると、4月3日のロッテ戦で途中交代させられ、ロッカールームで捕手のマスクを投げつけて右手人さし指骨折で約1か月半戦線離脱した。自身の不注意によるケガがなければ、捕手で130試合以上は出場していただろう。
森は天才的な打撃センスを買われ、若手の時は指名打者のほか、外野手で起用されていた。捕手として本格的に試合に出続けたのは2018年からだ。西武を取材しているスポーツ紙記者は当時をこう振り返る。
「先輩の炭谷銀仁朗(現楽天)と比べると、捕手としての完成度に大きな差があった。捕球技術や配球術だけでなく、投手とのコミュニケーション、周りへの気配りがまだまだだった。本人も投手陣に信頼されていないことを自覚していたので、炭谷や岡田雅利に助言を仰ぐなど必死な様子でした。最近の森は自分が打った試合より、投手が抑えて勝った試合で喜びを露わにする時が多い。レギュラーをつかむのに苦労した分、捕手へのこだわりは強いのではないか」
他球団からも「捕手・森」の評価は高い。セ・リーグでは有力視されるのが巨人とDeNAだが、スポーツ紙デスクはこう分析する。
「森は伸び伸びしたチームカラーのほうが力を発揮できる。ひげ、茶髪を原則禁止するなど伝統を重んじる巨人はどうしても窮屈に感じてしまうのではないか。DeNAも今季FA権を取得した嶺井博希がいる。三浦大輔監督の信頼が厚く、もし森を獲得しても先発投手との相性で嶺井をスタメン起用する試合も出てくる。外野も盤石です。セ・リーグは指名打者制がないので、スタメンでない時は代打待機になる。パ・リーグの方がプレーしやすい環境が整っている」