農業をテーマにしたバラエティ番組が注目を集めている。アンジャッシュ児嶋一哉、俳優の工藤阿須加が出演し、農業の魅力をさまざまな形で伝えている。その見どころについてコラムニストのペリー荻野さんが解説する。
* * *
今、「農業」関連の番組が面白い。
4月にスタートしたテレビ東京系『種から植えるTV』、農業にはまったくの素人というアンジャッシュ児嶋一哉が、週替わりで相棒となる女性タレントとともに日本各地の農家をお手伝いすることで、食卓に並ぶ野菜や果物が、どのように育てられているのかを学ぶという番組。テーマは「コジマがんばる!ファームバラエティ」だ。
先日の放送では、実家が小松菜農家という森日菜美とともに埼玉県入間郡三芳町の江戸時代から続く小松菜農家を訪問。いつもの土色のオーバーオールに帽子という番組のユニフォームのふたりは、児嶋自らが運転する車で現地に到着すると、目の前にはしっかり育てられた小松菜畑が。さっそく「100袋分の小松菜の収穫」を頼まれる。
番組の一番の特長は、野菜ってこんな風に育つんですね~、美味しいですね~などとのんきなことばかりを言うのではなく、その野菜をきちんと商品にするまでの手伝いをすることだ。小松菜は1cmほど根をつけてカット。残った根は土に残し、畑の肥料にするのだが、まず、鎌でほどよく根本をカットするのが難しい。
実家から「MY鎌」を持参した森も四苦八苦だ。もちろん、それで終わりではなく、収穫した小松菜は根を洗浄したあと、全体を手で洗い、250グラムずつ計って袋詰め。葉を傷めないように袋に入れるのもコツがいる。最後は袋の口をシール専用機できれいに閉じてやっと一袋ができあがるのである。使う専用機のメーカーや機種まで紹介しつつ、出荷までの行程をここまで紹介する番組は珍しい。
一方、10月にスタートしたBS朝日『工藤阿須加が行く 農業始めちゃいました』は、俳優の工藤阿須加が、農業転職者のもとを訪れ、作業を手伝いながら、イマドキ就農のリアルに迫るというもの。過去に二回のスペシャル版を経て、レギュラー化した第一回は、介護士から深谷ねぎとオクラを育てる農家に転職して五年目の夫妻を訪問した。