生え抜きスターならではの操縦術で、岡田彰布監督が猛虎打線を復活させられるか──。10月20日のドラフト会議で、阪神は高松商業の浅野翔吾外野手を指名したが、抽選で巨人に敗れ、外れ1位で中央大学の森下翔太外野手を獲得した。
「大器の浅野を外したのは痛いですが、中央大学の森下翔太を獲得できたのは大きい。同じ中大出身であるDeNAの牧秀悟のように1年目からクリーンアップを打てる可能性のある素材です。即戦力という点から見れば、浅野よりも森下で良かったのではないか」(野球担当記者。以下同)
17年間も優勝から遠ざかっている阪神だが、近年のドラフト1位指名は成功していると言っていいだろう。2010年以降、新人王は高山俊だけだが、大山悠輔は主軸に成長し、近本光司はリードオフマンとしてチームを引っ張っている。投手では岩貞祐太が中継ぎとして支え、今季は高卒3年目の西純矢が先発で6勝を挙げた。
「もっとも、活躍する選手は多いですが、徐々に成績が下火になっていくパターンも見受けられます。代表的な例は藤浪晋太郎でしょう。高卒で1年目から10勝、11勝、14勝と順調に勝ち星を挙げながら、最近6年間で15勝しかできなかった。髙山も3年目に極度のスランプに陥り、ここ3年はほとんど活躍できていない。佐藤輝明は昨年の前半戦だけで20本塁打打ったのに、後半戦に失速して最終的に24本塁打、打率2割3分8厘に終わった。2年目の今年は打率2割6分4厘、20本塁打でしたが、ポテンシャル的にはもっと好成績を残してもおかしくない」
1年目は爆発するものの、その後が続かない選手が目立っている。それが今季のリーグ5位のチーム打率に繋がっている面もある。
「阪神は大阪の人気球団ですから、少しでも成績を残せば持ち上げられ、地元でチヤホヤされがち。タニマチ的な存在が出てくることもあるでしょう。かつての星野仙一監督はちょっと活躍した程度で、すぐにスポーツ紙の一面にする風潮に釘を刺していました」