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東大病院の「がん専門医」中川恵一氏が実践 「がんにならない習慣」リスト

東大病院の「がん専門医」中川恵一医師

東大病院の「がん専門医」中川恵一医師

 健康の基本は「病気にならない」こと。そのために、我慢をしすぎず「日々の生活改善でリスクを減らしていくべき」と説くのが、自らもがんに罹った経験のあるがん専門医、東大病院の中川恵一医師だ。

 * * *
 現在、日本ではがんで亡くなる患者さんが増加する一方です。しかし、欧米では、人口あたりのがん死亡者は減少に転じています。そのような差が生じているのは、健康や医療の知識(ヘルスリテラシー)の差が背景にあると考えています。

 日本のがん死を減らすためには、各個人が「がんに関する正しい知識」を身につけることが大切です。日本では「がん家系」という言葉が広く流布していますが、実際に遺伝が影響するのは5%で、がんの原因の多くは「生活習慣」とされています。

 私自身、2018年12月に膀胱がんが見つかり、手術を受けました。当事者になり、改めて日常のなかでがんを予防することの重要性を実感しています。

 国立がん研究センターがん情報サービスによると、日本人男性のがんの要因は喫煙が23.6%、飲酒が8.3%を占めています。

 日本人を対象とした研究結果から、喫煙は肺がんをはじめ、食道がん、膵臓がん、胃がん、大腸がん、膀胱がんなど、多くのがんに関連することが示されています。日本人男性の場合、喫煙者は非喫煙者に比べてがん罹患リスクが1.6倍になることも分かっています。

 同じく多量の飲酒ががんのリスクを高めることも、日本人男性を対象とした研究で分かっています。1日あたり純エタノール換算で23g(日本酒なら1合、ビールなら大瓶1本、ウイスキーならダブル1杯など)未満の人に比べて、46g以上で40%程度、69g以上で60%程度、がん罹患リスクが高まります。

 このことからも、煙草を吸わないことや酒を控えることががん予防になることは明らかです。

 ただ、私自身は「酒好き」で、リスクが分かっていながら目安以上の量を飲んでいます。飲酒でリスクが高まるがんの代表が食道がんですが、飲酒する代わりに、そのリスクを確実に下げることが分かっている野菜や果物を、毎食欠かさず摂るようにしています。また、熱い食べ物や飲み物も食道がんのリスクを高めるとされており、私は少し冷ましてから摂るようにしています。

 ただ、喫煙者がいくら野菜を摂っても、がん予防にはほぼ意味はありません。また、野菜や果物をジュースで摂ることは、糖分の過剰摂取につながることがあります。特に果物ジュースは2型糖尿病のリスクを高め、糖尿病になると膵臓がんと肝臓がんの発症リスクが2倍になるので要注意です。

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