大河ドラマ『鎌倉殿の13人』は12月18日で最終回を迎える。権力闘争が続く物語はどういった最後を迎えるのか。
終盤に近づくなか、第39回(10月16日放送)から、オープニングの俳優表記の最後、いわゆる「トメ俳優」が山本耕史に代わった。
「これまでトメを飾ってきたのは、西田敏行(後白河法皇)、大泉洋(源頼朝)、宮沢りえ(りく)ら、ドラマを盛り上げた黒幕役の大物俳優たち。山本演じる三浦義村はまさに最後の敵、ラスボスと言える」(ドラマ関係者)
義時(小栗旬)と義村は祖父に伊東祐親(浅野和之)を持つ従兄弟であり歴史上では盟友と位置づけられているが、義村は常に「敵か味方かわからない」独特な雰囲気をかもし出してきた。時代劇評論家のペリー荻野氏が語る。
「和田義盛(横田栄司)と義時の対立において、義時の言葉にいらだちを見せた義村は義盛の味方だったはず。それなのに結果的には義盛が一族もろとも滅ぼされる一方で、義村は義時に取り入り生き残る。冷静に“勝ち馬”を見定めていて、鎌倉に漂う不穏な空気を体現する『鎌倉殿』に欠かせない人物になっています」
今後描かれる「承久の乱」で、義村は後鳥羽上皇から義時追討のために決起を促されることになるが、果たしてどんな策士ぶりを見せるのか。
大河ドラマに詳しいものまねタレントの松村邦洋氏は義村をこう評する。
「義村は義時や政子(小池栄子)らの死後にも生き残り、3代執権・泰時(坂口健太郎)の代になってからも権力を持つ。幕府の頂点に立った義時にも勝る最終的な“勝ち組”は義村だとも言える」
前出のドラマ関係者はこう評する。
「山本は1話から登場していながら掴みどころのないまま生き延びて、何をするかわからない男という印象を視聴者に植えつけてきた。その彼を『トメ俳優』に持ってくるあたりに、三谷幸喜さんの山本に対する信頼とこだわりが感じられます」
※週刊ポスト2022年11月4日号