政府は安倍晋三・元首相の国葬費用が「約12億4000万円」(速報値)と発表した。当初の見積もりだった概算16億6000万円から4億円以上削減されており、岸田文雄・首相は、「今後、大幅に増えることはない」と胸を張った。
今回の政府の発表の内訳は、「式典費2億4000万円」「警備費4億8000万円」「海外要人接遇費5億1000万円」「自衛隊儀仗費1000万円」とされている。
警備費の詳細な内訳について警察庁に問うと、金額は「9月27日の故安倍晋三国葬儀に伴う警備に要した経費の速報値」としたうえでこう回答した。
「警視庁を含む警察官の超過勤務手当等2.6億円、車両等の装備資機材や待機所の借上げ等の装備費2.2億円です」(広報室)
しかし、「発表された額は実際に警備にかかった費用の一部に過ぎないと考えられる」と指摘するのは、警察庁警備局勤務などの経験を持つ作家・濱嘉之氏だ。
「今回の国葬では9月20日あたりから警備のグレードを上げました。少なくともここからは警視庁約4万5000人のほぼ全員が24時間勤務を2交代で警備に当たっています。実際に現場に出ているのは1万7500人程度でも、ほかは警察署などで待機している。国葬が行なわれることで警視庁全体の勤務体系が特別対応になっているため、本来はそれを費用として計算しないといけないはずです。
総動員が国葬当日(27日)までの8日間、警察官1人が24時間勤務を4日間したとすれば、休憩時間などを差し引いても1日あたり8時間、のべ32時間の超過勤務が発生する。残業代の平均時給を1000円として4万5000人分で14億4000万円、加えて食費と栄養ドリンクなどに使う補食費が1食1000円で1日3食が4日間として5億4000万円。合わせて19億8000万円ほどになります。それと比べれば4億8000万円という公表額が少なすぎるのは明らかでしょう」