10月11日に入国制限が緩和されてから初めての週末を迎え、来日を待ちに待った外国人観光客が街に溢れかえった。コロナ後の“外国人観光様式”はどのように変化したのか。
水際対策が大幅に緩和され、外国人の個人旅行が解禁された10月11日以降、全国各地で外国人観光客の姿が増加し、コロナ禍で途絶えていた賑わいが少しずつ戻っている。
1日5万人の入国者数の上限も撤廃された11日から初の週末を迎えた15日・16日、都内は早朝から浅草寺などの観光スポットに大勢の訪日外国人観光客が押し寄せていた。解禁日に個人旅行で入国したフランス人教師のロマン・ド・パスクァーレさんは「YouTubeで見た浅草の人力車に魅せられ、日本を訪れるのが夢でした」と語り、念願の初来日に歓喜の声を上げる。45分1万円で各所をめぐる人力車に連日乗りに来ているという。
このように旺盛な体験型消費もあれば、円安を追い風に“爆買い”を楽しむ外国人観光客も多い。中古ゲームソフトなどを販売する「スーパーポテト秋葉原店」スタッフは「90万円のレトロソフトをお買い上げの方もいました」とその購買意欲に驚いていた。インバウンド復活の狼煙が上がり始めている。
「個人旅行が解禁された週から、訪日外国人観光客は急にぐっと増えました。特に欧米からの個人客が多いですね」(箱根町の土産店)
訪日客は都内だけでなく、箱根、富士宮、鎌倉、京都など各地の観光地でも増加している。仕事で来日し、週末はプライベートで東京から足を延ばして旅行する外国人も目立った。
マスクの着用については、訪日客の間で対応はまちまちだった。しかし取材を進めると、自国ではマスクを着用しないものの、日本では屋外でも着用する観光客が意外と多い。ドイツ人ツアー客は「事前にドイツの旅行会社から日本での着用ルール厳守を求める説明があり、それに納得した上で旅行に来ています」、フランス人観光客は「日本人は日常的に着用していて安心。旅行者の私も着けるのが当然」と話した。
日本の生活様式に同調する訪日客が増えてきている。
取材・文/上田千春 撮影/中庭愉生、佐藤敏和、小倉雄一郎
※週刊ポスト2022年11月4日号