韓国音楽シーンは、早くも2022年を総括する季節に突入した。そんな中、BTSが急きょ出演を決め話題となった音楽授賞式『2022 THE FACT MUSIC AWARDS (TMA)』が、10月8日、今年は約3年半ぶりに有観客で開催された(韓国・KSPO DOME/オリンピック体操競技場)。TMAに出演した注目の男性アーティストのライブレポートをお届けします。
受賞コメントのネイティブな英語スピーチが語るもの
本イベントではK-POPに限らず、韓流バラードやトロット(演歌)、今年BTSのSUGAが楽曲提供したPSY(サイ)の出演など、今の韓国エンタメをけん引する男女20組が出演、韓国音楽の幅広さを物語っていた。2年以上にわたってファンと直接向き合うライブができない前代未聞の事態を経験し、K-POPはさらに世界を見据えて成長。それを感じたのは、TMAの各賞受賞のコメントに飛び交うネイティブな英語のスピーチだった。
韓国語、英語、中国語、日本語、どのグループも多国語を上手に操り、特に英語に関してはどのグループにもネイティブに話せるメンバーが必ずいる。その美しい発音を聞くにつれ、世界への本気度を感じることができる。コロナ禍を経てBTSはもちろん、K-POPがまた一段と世界の音楽シーンに近づいたことを証明するグローバルなイベントとなった。
【TNX】(Hottest)
*( )内は受賞内容
10代のフレッシュなオラオラ感がたまらない!
『Nizi Project』を経て日本でも人気になった音楽プロデューサーJ.Y.Parkと『江南スタイル』のPSYがプロデューサーとして出演したサバイバルオーディション番組『LOUD』(2021)から誕生した6人組『TNX(ティーエンエックス)』。PSYが代表を務める事務所『P NATION』初のボーイズグループで、グループ名は「The New siX」の略で「新しい6人組」の意が込められている。 6人中5人がまだ10代というあどけなさを残しつつ、見事に揃えられたビジュアル、透明感のある歌声には伸びしろがあり余り、まぶしすぎる存在だ。
この日はデビューアルバム『WAY UP』のタイトル曲『MOVE』を披露。パワーあふれるダンスナンバーで、彼らの歌唱力、表現力、ダンススキルが存分に詰め込まれている。初期のK-POPシーンを彷彿とさせるような懐かしいオラオラな曲調に、フレッシュで美しいビジュアルのミスマッチが見ごたえのあるステージとなった。
【TREASURE】(今年のアーティスト)
強烈なビートのエネルギッシュなカル群舞
2018年に放送されたサバイバル番組『YG 宝石箱』から誕生し、2020年にデビューした日韓混合の12人組『TREASURE』。BIGBANGやBLACKPINKらが所属するYG ENTERTAINMENTが約4年ぶりに輩出したグループで、日本人メンバーが4人も存在する(この日の出演は10人)。約8か月ぶりとなるジャパンミニアルバム『THE SECOND STEP : CHAPTER TWO』を引っさげて、11月から21万人動員の日本アリーナツアーを開催する。
レッドカーペットでは、スキップ混じりのステップで入場してやんちゃぶりを発揮し、ステージでは、ヒップホップのダンスナンバー『JIKJIN』を披露。黒にイエローのラインをあしらったライダーズスーツで、バイクに乗って登場するハルトの強烈なオープニングから、強いビートにあわせた迫力のあるダンスで、イントロから会場を惹きつける。クセになる「JIKJIN」というサビのフレーズと、一列になるラインダンスのようなフォーメーション、大所帯ならではの“カル群舞”(全員で完璧にそろえた刃物のようにキレのあるダンス)は圧巻だった。
【TOMORROW X TOGETHER】(今年のアーティスト)
ワルでブラックな新しいTOMORROW X TOGETHER
顔面偏差値の高さはK-POPナンバー1ともいわれるTOMORROW X TOGETHER。BTSの後輩グループとして2019年のデビュー以来、5人全員が少女漫画に出てきそうな超ド級の美しいビジュアルを備え、ファンタジーな世界観とハイレベルなパフォーマンスで世界中にファンを持つ。ダイナミックかつ繊細なパフォーマンスが最強の魅力だ。
今年5月にリリースした『Good Boy Gone Bad』では、初恋に破れた純粋な少年の怒りと喪失感というブラックな感情を、激しい歌詞とダンスで表現。これまで見せたことのないダークな新しい魅力を世界中に知らしめた。
この日も2次元から飛び出したような完璧なビジュアルが爆発。魔法の粉が舞う幻想的なステージの中、白い羽衣をまとった天使のような5人が登場する。一転、天使の衣を脱いでブラックスーツに変身、炎が激しく上がる中、インパクトのあるイントロから、けだるく激しく荒くれた表情で力強いパフォーマンスが始まった。王子顔の代表・ボムギュのブラックな顔も必見だ。
全ステージ終了後に出演者全員が登壇したエンディングでは、BTSと肩を抱き合いこの日のパフォーマンスをねぎらい合う様子が、双方のファンの心をわし掴みにした。