オリックス・山本由伸の故障は2年連続で200イニング近くを投げた代償なのか──。昨年に続いて沢村賞を受賞した山本が日本シリーズ第1戦で左脇腹を痛め、4回途中で降板した。その後の経過も思わしくなく、今シリーズの登板は絶望的と見られている。
「中嶋聡監督は『行くかもしれへんで?』と登板の可能性を匂わせていますが、あくまでカモフラージュでしょう。もし本当に投げさせたら、故障が悪化し、選手生命に関わってくるかもしれない。無理はさせないと思います」(プロ野球担当記者。以下同)
山本は昨年193回、今年193.2回を投げており、クライマックスシリーズや日本シリーズにも登板した。疲労は確実に蓄積していたと思われる。過去10年、パ・リーグで投球回数180以上を記録したのはオリックスの金子千尋、楽天の田中将大、楽天の則本昂大、ロッテの涌井秀章、ソフトバンクの武田翔太、西武の菊池雄星、ソフトバンクの千賀滉大、オリックスの山本由伸と8人いる(球団は当時)。実は、彼らの多くが2年以内にケガをしているのだ。
「投手に故障は付きものですが、データとして突きつけられると考えさせられます。2016年に183回投げた武田は翌年に右肩の違和感を訴えた。3月のWBCに選ばれ、急な調整をしなければならない影響もあったでしょう。この年以降、2桁勝利から遠ざかっています。
2017年に187.2回投げた菊池雄星は2018年に左肩の張りを訴えている。それでも14勝して翌年にメジャーに行きましたが、期待されたほどの成績は残せていない。千賀は180.1回を投げた2019年オフに右肩、翌年1月に右ふくらはぎに違和感を覚えています。金子は2013年に223.1回、翌年に191回とフル回転しましたが、オフに右ヒジの骨棘の除去手術をしてメジャー行きを断念しています。その後は以前のような投球ができなくなりました。
2013年に212回を投げて24勝0敗1セーブで楽天を日本一に導き、ヤンキース入りした田中も翌年7月に右ヒジの違和感を訴えています。則本は2014年の202回から始まって、5年連続180回以上放っており、現代では驚異的なスタミナを誇っていました。しかし、2019年の春に右ヒジ関節鏡視下のクリーニング手術を行い、その年から2年連続5勝に終わっています。涌井は2年連続188.2回を投げた翌年の7月に右太もも裏を吊ったような状態になって途中降板しましたが、その後もローテーションを守り続けた。ただ、その年は5勝11敗と奮いませんでした。則本や涌井のタフネスぶりはあくまで例外の範疇です」