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《工藤会系組幹部を逮捕》「仕事は朝が勝負ちゃうのん?」殺害された王将社長が事件直前に語っていた「早朝掃除」の理由

本社ビル前を掃除するのが日課だった元王将社長・大東さん(2013年当時)

本社ビル前を掃除するのが日課だった元王将社長の大東さん(2013年当時)

 2013年12月に『餃子の王将』を展開する王将フードサービス社長だった大東(おおひがし)隆行さん(当時72)が射殺された事件。10月28日、特定危険指定暴力団・工藤会系組幹部の田中幸雄容疑者(56)が殺人容疑で京都府警に逮捕された。逮捕の決め手について捜査関係者が語る。

「事件が発生した当時、まだ夜明け前の早朝ということもあり、目撃証言などがありませんでした。そんななか、犯人につながる手掛かりとしてまず見つかったのが、逃走に使われたバイク。このバイクは盗まれたものでしたが、それを調達するために使われた軽自動車の所有者の交友関係を調べる中で田中容疑者が浮上していました。

 さらに、現場付近ではたばこの吸い殻が発見されていました。このたばこが田中容疑者が普段吸っていたものと同じ銘柄だったのです。このたばこのDNA鑑定を行ったところ、田中容疑者の型と一致したことを受け、府警は田中容疑者が関与したとの見方を強めていました」

 事件が起きたのは、2013年12月19日午前5時45分ごろ、京都市山科区の本社ビル前でのこと。大東さんが駐車場に乗用車を止めて降りた際、胸や腹部に計4発の銃弾を受けた。6時ごろに現場で失血死したとみられている。大東さんは約1キロ離れた自宅から自分で運転し、早朝に出勤していたという。同社の関係者が明かす。

「大東さんといえば『餃子の王将』を業界トップの中華レストランに成長させた人物です。2000年に経営不振だった同社の4代目社長に就任するやいなや、店舗拡大を進め、立て続けに増収増益を更新させた“伝説の人物”です。何事も率先垂範する、素晴らしいリーダーとして多くの社員から慕われていました。そのなかでも彼の日課となっていた、早朝に行う本社前での掃除はあまりにも有名です」

 かつて『週刊ポスト』(2013年12月13日号)も大東さんの早朝の掃除現場を取材していた。まだ真っ暗な午前5時半ごろ、本社の玄関を開け、明かりをつけた白長靴姿の大東さんは「よその店に行って『汚いなあ』といおうにも、まず自分とこがきれいやないといわれへんやん?」と答えると、「これ、始める前はみんなタバコやら空き缶やら放りよったんやで。やるようになったら誰も捨てへん。お掃除はテレパシーや、伝わるねん」と明るく語っていた。

 この掃除は、社長就任と同時に始めた習慣とされ、亡くなる直前まで続けていたものと見られる。

「誰よりも早く一番乗りが大切。仕事は朝が勝負ちゃうのん? 意欲と勢いと活気でやるもんや。9時にはもうエンジン全開ぐらいでええのちゃう? 昼からの仕事は惰性(笑い)、夜は明日のことを考える。それくらいやないと『仕事できる』とはお世辞にもいえへんのとちゃいますか」

 現場に残された1本の吸い殻。大東さんが掃除して捨てるはずだったタバコ、その1本が今回の逮捕につながった。故人の無念が晴らされようとしている──。

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