話題を呼ぶ秋ドラマの1つ、日曜劇場『アトムの童(こ)』(TBS系)。ゲーム業界を舞台に山崎賢人演じる天才ゲーム開発者が大資本の企業を対峙しながら、世界に向けたゲーム開発に挑戦する。コラムニストのペリー荻野さんがこのドラマの見どころについて解説する。
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日曜劇場『アトムの童』は、「難関」と格闘している。主人公の安積那由他(山崎賢人)は、かつて隼人(松下洸平)とともに「ジョン・ドゥ」の名前で画期的なゲームを創り上げた天才開発者。
彼は、興津(オダギリジョー)率いる大手IT企業「SAGAS」にアイデアと親友の命を奪われるという壮絶な経験をして以来、ゲーム制作からは遠ざかっていたが、廃業寸前の老舗玩具メーカー「アトム玩具」の社長になった海(岸井ゆきの)に頼まれ、再び、動き出す。
「日曜劇場」では、これまで『下町ロケット』、『陸王』など、中小企業がさまざまな困難に直面しながら、団結してものづくりに奮闘し、大企業に挑むという構図のドラマを放送してきた。いわば得意分野といえる。
『アトムの童』の那由他も初回から興津に「ゲームの面白さはアイデアだ!」と敵対心むき出しで宣言。二話では、過去の事件以来、那由他と連絡を絶ち、「SAGAS」にいた隼人が「アトム玩具」に入社し、いよいよ最強のふたりが本格的にゲーム開発を始めることに。ますます熱は高くなってきた。
ここで彼らに立ちふさがる「難関」とは、「アトム玩具」潰しを画策する感じの悪い興津である…と言いたいが、実はそこじゃない。つまりは、「日曜劇場」の視聴者が、ゲームの話にどれだけついてこれるかということなのだ。
もちろん、ドラマの核はゲームの内容だけではなく、仕事や友情、会社の運営などたくさんあるのだが、ゲームや業界のすごさを知らないとわからないような気がすることも事実。その点のフォロー要員として活躍しているのが、「アトム玩具」の前社長で海の父でもある富永繁雄(風間杜夫)と古参社員の八重樫(でんでん)と各務(塚地武雄)だ。