「スポーツの秋」が到来し、外に出て体力作りに励む人が増えるとともに、冬に向けて風邪やウイルス対策に本格的に取り組むべき時期でもある。特に日本人は総じて健康意識が高く、実践している人も多い。しかし、どんな運動も健康法も病気予防も、「間違った常識」をもとに行っていれば元も子もない。よかれと思ってやっているうちに体を蝕んでいく「怖い健康常識」を白日の下に晒す。あなたはいくつ当てはまるだろうか……。
一気に気温が下がり、布団の中が居心地のいい季節になった。人よりも長く眠らないと疲れが取れない人もいれば、短い睡眠でスッキリ目が覚める人もいる。かつては「7〜8時間睡眠がベスト」といわれていたが、いまは「オーダーメード方式」が正解。雨晴クリニック院長の坪田聡さんが解説する。
「最適な睡眠時間は人によって違いますし、高齢になると、睡眠時間は短くなるもの。睡眠不足がない状態で自然に寝起きする時間が、その人に合った睡眠時間です。年末年始などまとまった休みを取れるときに5日間くらい充分に眠り、睡眠不足を解消してください。その状態で次に眠る際に目が覚めるまでの時間を計ってみてください」
お肌のために、午後10時から午前2時のゴールデンタイムに寝る方がいいというのも誤りだ。
「眠りについてから3時間が、その人のゴールデンタイム。眠り始める時間とは関係なしに最初の3時間で疲労が回復し、体がリセットされます。必要ない夜更かしはやめるべきですが、仕事や生活スタイルに合わせて睡眠時間が遅くなるのは問題ありません」(秋津医院院長・秋津壽男さん)
注意すべきは入眠時だけではない。坪田さんは目覚ましを使うと目覚めが悪くなるとアドバイスする。
「睡眠リズムが整っていれば、目覚める1〜2時間前から、ストレスから身を守ってくれるホルモンの『コルチゾール』が分泌され、スッキリと目覚めることができます。しかし目覚ましで急に起こされればコルチゾールが全身に行き渡っていないため、強いストレスの中で目覚めることになります」(坪田さん)
とはいえ、現代人にとって目覚まし時計がない生活は不安だ。
「代わりに“人の声”を使うことをおすすめします。特に自分の名前を呼ばれると睡眠時においても脳は反応しやすい。自分でも家族の声でもいいので『○○さん、起きてください』と吹き込んでおいて、目覚まし代わりに使えば、すっきり目覚められる。また、『自己覚醒法』といって、『明日は○時に起きる』と自分に言い聞かせて深層心理に刷り込むと、自然と起きられるようになる人も多いのです」(坪田さん)