警察や軍関係、暴力団組織などの内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、かつては盛んに行われていた暴力団のグッズ製造販売について。
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昭和、平成、令和と時代が移り変わるにつれ、暴力団業界にとっては生き残るのが厳しい時代となってきた。稼業の世界に大きな影響を与えたものは何かと問うなら、1992年3月に施行された暴力団対策法、略して「暴対法」に加え、各都道府県が制定した暴力団排除条例、2015年8月に起きた国内最大の暴力団組織「六代目山口組」の分裂と抗争、そしてコロナ渦を思い浮かべる人が多いのではないだろうか。
そしてこれらの影響によって、なくなった商売がある。”グッズ販売”だ。「昔はすごかった」というグッズ販売について、暴力団幹部らに当時の話を聞いた。
「一時期は代紋がついたものを使用していた時期があった。湯呑や珈琲カップはもちろん、ネクタイにネクタイピン、ベルトのバックル、カフスボタン。ボールペンにも代紋がついていた」
その頃は山口組でも稲川会でも住吉連合の名で知られた住吉会でも、多種多様なグッズが作られていたのだ。
「傘下の組は、これらのグッズを無理やり買わされていた。組員が10数人の所に200セットとか段ボールでバタバタと送られてきて、これどうすんだと思ったね」と幹部はいう。
中には組が作ったビデオまで入っていたこともあり、「うちは10数人しかいないのに。どう見てもこれ、カタギに売れって言ってるよな」と組員らと頭を抱えたこともあったという。
「代紋入りのボールペンなど誰も買ってくれない。喜んでもらってもくれない。組で1人に10本ずつ配っても余ってしまう。それでもボールペンならまだ使えるが、カフスボタンなんて使いようがない。若いのなんて、カフスをするようなワイシャツなど着たことがないヤツらばかりだ。地元に行って、ちょっとした不良に『おい、これ、2000円にして10人に付き合わさせてこい』と命令するが、『えぇ、カフスボタンなんて、俺たち誰もしないすよ』と嫌な顔をされた」(暴力団幹部)
そのような段ボールが数か月おきに送られてきたという。
「今月は何が来るんだ?」と幹部が組員に聞くと、
「ジャージの上下らしいですよ」
「ジャージの上下? いくらだよ」
「3万円」
「マジか…」