「なんちゃって」ではなく「ガチンコ」
芸能人のプロレス挑戦は、「もともと興味を抱いていて、オファーをきっかけに挑戦を決める」というケースもよくあるそうです。
「実は女子プロレスラーの見た目や戦う姿のカッコよさに憧れていた」という女性芸能人は多く、プロレス挑戦が決まったとき、涙ぐんで喜んでいたフワちゃんは、その1人でしょう。運動能力にある程度の自信がある人や、体型キープのためにキックボクシングなどを習っている人は、「できるならやってみたい」「これはチャンスかもしれない」と思うようです。
また、「女優によるプロレス」がコンセプトのアクトレスガールズという団体が昨年までプロレス興行を行っていたように、芸能とのボーダーがいい意味であいまいなことも、挑戦をうながしている側面もあるでしょう。
ただ、動画などで試合を見やすくなった今、「芸能人だから」という“なんちゃってプロレス”で人々を納得させることは難しくなりました。そのため人気芸能人でも、ほぼガチンコのスタンスで挑み、「いかに技をかける姿を見せるか」よりも、「いかに技を受ける姿を見せるか」を重視しているケースが多いようです。
過去を振り返ると、女子プロレス最盛期と言われる1970年代後半のビューティーペアや、1980年代中盤のクラッシュギャルズがレコードデビューして国民的な人気を得ていたこと。その後もキューティー鈴木さんがアイドル的な人気で芸能活動をしていたことなどを見ても、プロレスは長きにわたって芸能との関係性が濃いエンターテイメントだったことがわかるのではないでしょうか。
試合後、フワちゃんは「本物のプロレスラーになりたいと思った」「終わりじゃ嫌です。本当にもう一回やらせてください」と語っていました。彼女に限らず、今後も女性芸能人はプロレスに挑んでいくでしょうし、次の挑戦者が誰なのか楽しみです。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月30本前後のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演し、番組への情報提供も行っている。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。