なんでもネタ化して遊びにしてしまいがちな日本らしいやりかたで、いまや10月31日のハロウィンは、その直前の週末も含めて、仮装をして酒を飲み大騒ぎをするイベントとなっている。10月29日、韓国ソウルの繁華街イテウォン(梨泰院)で、大勢の若者が密集して折り重なるように倒れ、150人超が亡くなる事故が起きたが、臆せず大勢の若者たちが日本全国の繁華街に集まった。ライターの森鷹久氏が、10月31日の夜を渋谷で迎えた人たちに、恒例になってしまった日本でのハロウィンについて聞いた。
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東京や大阪だけでなく、札幌、名古屋に福岡と、全国各地の繁華街で若者たちが大いに盛り上がった、実に3年ぶりの行動制限がないハロウィン。筆者は渋谷駅前交差点を遠くから眺めたが、とにかくどこを見ても人だらけで、本当は近寄ってみようと思ったが恐ろしさを感じて諦めたほどであった。
「そこで男の人が警察に逮捕されてて、さっきはドローンも飛んでた! いやーこの雰囲気、まじヤバいっす! 最高です!」
先ほどまで渋谷駅前にいた埼玉県の専門学校生・ゆうだいさん(仮名・20代)は、筆者に興奮気味に、そして酒に酔ったベロベロの状態で答えてくれたが、これから六本木に移動し、朝までクラブ等で過ごすのだという。同じ頃、大阪・道頓堀では、川に飛び込む若者の姿も見られた。道頓堀にかかる通称「ひっかけ橋(戎橋)」には、飛び込み防止の柵などが備えられていたが「すぐ近くの別の橋から若者らがダイブしていた」(在阪大手紙記者)という。「仙台駅近くで爆竹騒ぎがあったり、札幌や名古屋、福岡でも警察が出動する事態」(民放キー局ディレクター)なのだから、まさに日本列島が大騒ぎという様相である。
ここまではテレビや新聞でも大いに取り上げられる、表向きの「騒動」だ。
「どこのトイレも満杯で、しかも全然出てこない。何をしているのかと思ったら、若い子たちがトイレの個室を占拠して着替えたり、鏡の前を陣取ってメイクをしてるんです。ハロウィンと関係ない一般の人たちがトイレに行けず、言い合いになっていました」
こう憤慨するのは、渋谷駅近くにある不動産会社社員・近藤花梨さん(仮名・20代)。自身も若く、ハロウィンを楽しみたい気持ちがないわけではないが「人に迷惑をかけるのが嫌」とうんざり顔。近隣の店舗ではハロウィン期間中、トイレを使用禁止にするなどの措置をとったり、コスプレ姿での入店を禁じた百貨店もあったが、酒類の販売自粛と同様、懸命な判断なのかもしれない。
近年のハロウィンは仮装のための「濃いメイク」も必須のものとなりつつあるが、今年はその日程も影響しているのか、そのメイクに関するトラブルも起きている。