かつて、「FAの主役」だった巨人のブランドが陰りを見せている。5年ぶりのBクラスに低迷し、来季で球団最長となる17年目の指揮をとる原辰徳監督への風当たりも強くなっている。今オフは大型補強すべく、西武・森友哉、阪神・西勇輝の獲得に動いていると報じられているが、情勢は厳しい。巨人を取材する民放のテレビ局関係者は、こう話す。
「西はシーズンを通して先発ローテーションで計算できるため、のどから手が出るほど欲しかったが、阪神残留が濃厚です。森はまだチャンスがあるが、オリックスが有利でしょう。FA宣言した上で西武に残留する可能性もある。巨人はFA補強が代名詞とされてきましたが、近年で活躍したといえるのは丸佳浩ぐらい。井納翔一はわずか2年の在籍で戦力外通告を受け、2019年に最多勝を獲得した山口俊も今季わずか1試合登板に終わり、退団が決まった。他球団の選手は外様の扱いに敏感です。巨人に移籍しても選手寿命が長くないと感じて敬遠しているように感じられます」
落合博満、広澤克己、清原和博、工藤公康、江藤智、小笠原道大、村田修一、杉内俊哉……他球団の4番打者やエースをFAで獲得してタレント集団を形成してきたが、最近10年間は獲得する選手の小粒感が否めない。陽岱鋼は全盛期より脚力が落ち、野上亮磨も西武で2ケタ勝利を2度しか挙げていないにもかかわらず、3年4億5000万円(推定)と過大評価して獲得。結果が出なかったのは致し方ないだろう。2020年オフに井納が当時のDeNAからFA宣言した際は、菅野智之にメジャー挑戦の可能性があった背景があったため獲得に動いた。スポーツ紙デスクはこう指摘する。
「井納は投げてみないと分からない投手。好投した次の登板でめった打ちを食らったり、つかみどころがない。たとえ菅野がメジャー挑戦したとしても、原監督が井納を我慢強く先発で使い続けたとは思えません。巨人はその傾向を把握した上で獲得したのか疑問が残る。巨人にとっても、井納にとっても最善の選択ではなかったように感じますね」