ライフ

コロナがもたらす家族の分断 反ワクなのに感染すると保険金請求で深刻な溝も

10月25日、米バイデン大統領はオミクロン株対応ワクチンを接種(CNP/時事通信フォト)

10月25日、米バイデン大統領はオミクロン株対応ワクチンを接種(CNP/時事通信フォト)

 東日本大震災以降、災害に見舞われるたびに「絆」が何かと強調される場面が増えていた。ところが、2021年から続く新型コロナウイルスによる災禍に対してはどうだろうか。仕事も学校も、生活の在り方も変化をせまられる状況のなかで、あって当たり前として扱われてきた家族の絆はどうなっているのか。ライターの森鷹久氏が、普通の家族に起きている、絶望的な分断についてレポートする。

 * * *
 新型コロナウイルスの感染者数が横ばいになり、世間はにわかにかつての日常を取り戻しつつある。少し前までは「●●が感染したしたらしい」とか「▼▼はワクチンを打たない主義らしい」などといった噂話が市民の間に飛び交い、コロナやワクチンに対するスタンスの違いから、家族関係や友人関係が分断されてしまうという事例も少なくなかった。

 しかしそれもこれも、非常時だったから仕方ないことで、日常が戻ってくれば元通りになるはず。そんな淡い期待を寄せていた人たちは今、日常が戻りつつあるなかで、人知れず絶望している。

「ワクチン反対なのは仕方が無いし、家族といっても個人の意見だから尊重しようと思いました。でも、今の家族を見て、もう昔みたいな仲には戻れないし、何より許せないと思いました。今後、少なくとも私から連絡をとることはありません」

 涙声でこう訴えるのは、九州出身で東京都内在住の看護師・堀田映子さん(仮名・30代)。医療従事者の堀田さんは、コロナ禍直後から勤務先の病院が新たに設置したコロナ病棟に勤務し、2週間近く自宅に帰ることができないなど、過酷な状況下で仕事をし続けた。もちろん、ワクチン接種をいち早く済ませ、医療従事者として自身が感染することのないよう、最善の注意を払ってきた。

 九州で暮らす高齢の両親、そして弟夫婦のことも気にかけ、週に一度は「感染しないよう気をつけて」「ワクチンは早めに打って」と電話で話をしたという。しかし、妻と子供の3人で地元で暮らす弟は、いわゆる「反ワクチン」。妻と子供にもワクチンを打たせないどころか、両親にまで「打つな」と強要していた。医療従事者としては、忸怩たる思いだったという。

「もちろん、ワクチンは強要されるものではありませんが、接種しないよう強要するのもおかしいと弟には話しました。それでも、姉ちゃんはテレビや新聞しか見ないから遅れている、ネットにはいろんな情報があって自分は勉強しているので間違いないと頑な。悲しかったですが、それでもやっぱり弟。見放すことはできず、いつも体調を気にしていました」(堀田さん)

関連記事

トピックス

明るいご学友に囲まれているという悠仁さま(時事通信フォト)
悠仁さまのご学友が心配する授業中の“下ネタ披露” 「俺、ヒサと一緒に授業受けてる時、普通に言っちゃってさぁ」と盛り上がり
週刊ポスト
「大宮おじ」「先生」こと飯田光仁容疑者(32)の素顔とは──(本人SNS)
〈今日は〇〇にゃんとキスしようかな〉32歳無職が逮捕 “大宮界隈”で少女への性的暴行疑い「大宮おじ」こと飯田光仁容疑者の“危険すぎる素顔”
NEWSポストセブン
TUBEのボーカル・前田亘輝(時事通信フォト)
TUBE、6月1日ハワイでの40周年ライブがビザおりず開催危機…全額返金となると「信じられないほどの大損害」と関係者
NEWSポストセブン
インド出身のYouTuberジョティ・マルホトラがスパイ容疑で逮捕された(Facebookより)
スパイ容疑で逮捕の“インド人女スパイYouTuber”の正体「2年前にパキスタン諜報員と接触」「(犯行を)後悔はしていない」《緊張続くインド・パキスタン紛争》
NEWSポストセブン
ラウンドワンスタジアム千日前店で迷惑行為が発覚した(公式SNS、グラスの写真はイメージです/Xより)
「オェーッ!ペッペ!」30歳女性ライバーがグラスに放尿、嘔吐…ラウンドワンが「極めて悪質な迷惑行為」を報告も 女性ライバーは「汚いけど洗うからさ」逆ギレ狼藉
NEWSポストセブン
寄り添って歩く小室さん夫妻(2025年5月)
小室眞子さん第一子出産で浮上する、9月の悠仁さま「成年式」での里帰り 注目されるのは「高円宮家の三女・守谷絢子さんとの違い」
週刊ポスト
田中圭の“悪癖”に6年前から警告を発していた北川景子(時事通信フォト)
《永野芽郁との不倫報道で大打撃》北川景子が発していた田中圭への“警告メッセージ”、田中は「ガチのダメ出しじゃん」
週刊ポスト
夏の甲子園出場に向けて危機感を表明した大阪桐蔭・西谷浩一監督(産経ビジュアル)
大阪桐蔭「12年ぶりコールド負け」は“一強時代の終焉”か 西谷浩一監督が明かした「まだまだ力が足りない」という危機感 飛ばないバットへの対応の遅れ、スカウティングの不調も
NEWSポストセブン
TBS系連続ドラマ『キャスター』で共演していた2人(右・番組HPより)
《永野芽郁の二股疑惑報道》“嘘つかないで…”キム・ムジュンの意味深投稿に添付されていた一枚のワケあり写真「彼女の大好きなアニメキャラ」とファン指摘
NEWSポストセブン
逮捕された不動産投資会社「レーサム」創業者で元会長の田中剛容疑者
《無理やり口に…》レーサム元会長が開いた“薬物性接待パーティー”の中身、参加した国立女子大生への報酬は破格の「1日300万円」【違法薬物事件で逮捕】
週刊ポスト
話題のAIビデオチャットアプリ「Castalk(キャストーク)」
「リアルだ…!」グラビアアイドル・森咲智美と2人きりで「ふれあいタッチ」も AIアバターアプリ「Castalk」を男性記者が体験してみた
NEWSポストセブン
2日間連続で同じブランドのイヤリングをお召しに(2025年5月20日・21日、撮影/JMPA)
《“完売”の人気ぶり》佳子さまが2日連続で着用された「5000円以下」美濃焼イヤリング  “眞子さんのセットアップ”と色を合わせる絶妙コーデも
NEWSポストセブン